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CoCo壱「わずか3年で3回目の値上げ」は吉と出るか 過去の値上げでは「客離れ」は見られないが…

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 17時30分

また次に、労働費用の増加も重要な要因である。実際に、先に上げた決算説明会資料では人件費の増加は連結営業利益の1億8000万円もの押し下げ要因だった。

日本では少子高齢化が進行しており、労働力不足が深刻化している。このため、飲食業界では人材確保のために賃金を引き上げる必要がある。特にコロナ禍以降、アルバイトが離れてしまったあと、ふたたび集めることが難しい状況にある。飲食業の賃金アップのためには、もちろん価格アップが必要となる。コストを負担するためにも、それは必須だ。

値上げの結果

ところで、お客は値上げの結果をどのように受けたのだろうか。同社は前年比率の売上高変化を発表しているので見てみよう。以前の2022年12月、2024年2月を確認したい。

結果でいえば、事実として(前年比率でいえば)影響を受けていないように見える。

一般的に、飲食店の値上げは顧客離れを引き起こすリスクがある。私が知っている企業人に聞いてみても「少しの値上げであっても、お客の離反を招く」と危機感をもっている。その理由としては、日本人が節約傾向にあるからだ。

先日報道されたとおり、26カ月も実質賃金がマイナスになっている。これは名目の賃金が上がっていても、それ以上に物価が上昇していることを意味する。そうすると消費が盛り上がることはなく、消費を控えようとする。

例外的には特別なハレ消費の場合か、付加価値を十分に認めている商品の場合だ。それであれば多少の値上げにも消費者は購買を続ける。CoCo壱番屋の場合、少なくともこれまでの値上げは売り上げに大きな影響を及ぼしていない。お客は一定の価格上昇を受け入れている。

同社は、これまで価格以上の価値を提供していたと認識されている。実際にリピーターが多い。お客との信頼関係を維持する努力も見受けられる。

CoCo壱番屋の値上げは単なる価格改定ではなく、経営戦略の一環として捉えるべきだろう。同社が今後も顧客に愛され続けるためには、価値ある商品とサービスを提供し続けることが不可欠であり、そのための覚悟ある値上げ発表ととらえるべきだ。

CoCo壱番屋の狙い通りになるか

ところで、ここまで比較的に同社を応援するコメントを書いてきた。実際に真摯な経営方針である同社を私は応援している。ただ、あえて注目するポイントを述べたい。

それは客単価「1000円の壁」をすでに突破している同社が、今後、どのようにして客単価を上げていけるか、どこまで上げていけるか、だ。

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