「トランプ氏銃撃」国際ボディーガードによる考察 鉄壁だったはずの警護になぜ隙ができたのか?
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 14時30分
小山内さんはまた、「事前の警護にミスがあった」と推測しながらも、「警備体制を上回る、犯人の強い殺意があったからではないか」とも指摘する。
「攻撃者にとってターゲットとの距離はとても重要です。距離が遠くなればなるほど、自分の身の安全を確保できる可能性は高くなりますが、相手を仕留められる可能性が低くなります。逆に、近ければ近いほど、相手を仕留められる可能性は高くなりますが、自分の身の安全を確保できる可能性が低くなります。
おそらく犯人は自身の身の安全という要素を捨て、より確実に仕留められる可能性にかけたものと思われます。そのため、ターゲットから約130メートルという距離まで近づいて銃撃を行いましたし、犯人は警護側の反撃を受け、死亡しています。
このように、自分の身の安全よりも、目的の達成を優先する攻撃者には高いモチベーションがあるため、距離を可能な限り縮め、攻撃成功の可能性を高めてきます。例えるなら、この攻撃手法は『自爆テロ』のようなものです」
一方で、狙撃という形を取ったことについて、小山内さんは「近距離警護がしっかりしていたからこそ、このような方法を取るしかできなかったのではないか」と主張する。
「アメリカでは、過去にも多くの大統領や大統領候補者が暗殺されているので、シークレットサービスなどはかなりしっかりとした警備体制を取っています。そのため日本とは違い、攻撃者がターゲットに近づくのは容易ではありません。
今回もおそらく、演説会場周辺にはしっかりとしたセキュリティバリア(境界線)が設定され、会場敷地内へのアクセスには金属探知機などを使った出入管理がしっかりと行われていたはずです。
このように近距離の警備体制がしっかりとなされると、攻撃者はターゲットに近づくことすらできませんので、距離を取った狙撃という方法を取るしかなかったのでしょう」
犯人が自動小銃を選んだ理由
アメリカメディアによると、犯人は地域の射撃クラブに所属していて、日頃から銃の扱いに慣れていたようだ。小山内さんも「犯人は狙撃に最適な自動小銃を選んでいた」と分析する。
「犯人が使用したと思われるアサルトライフルは、スナイパーライフル(狙撃銃)よりも容易に入手でき、訓練さえすれば300メートル程度先のターゲットを狙うことができます。狙撃の状況から考慮すると、犯人が使用したライフル銃、おそらくアサルトライフルは、今回の襲撃に適した武器であったと考えられます」
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