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「トランプ氏銃撃」日本で起きた時の最悪シナリオ 日米の「要人警護」の違いから事件を読み解く

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時10分

銃撃を受け流血しながらも拳を突き上げたトランプ大統領(写真:Getty Images/Anna Moneymaker)

元トップが演説中に凶行に襲われる。デジャブだと思った人もいるかもしれない。

【裏から見る】トランプ前大統領はこんなふうに守られていた!【画像】

7月13日(現地時間)にトランプ前大統領が銃撃された事件。奇しくも安倍晋三元首相が同じく演説中に銃弾に倒れ亡くなったのと同じ7月に起こった。

アメリカ・ペンシルベニア州の集会で演説していたトランプ氏。そこに20歳の青年が発砲し、右耳付近を負傷した。容疑者はシークレットサービスのスナイパー(狙撃手)によって“無害化”(狙撃をして動きを制止)されて死亡、集会の参加者も1名亡くなったという。

トランプ氏の「ガッツポーズ」は危険だった

流血しながらも拳を突き上げるトランプ氏の姿は有権者へのアピールとしては完璧で、迫力があったものの、ふと疑問に思った人もいるかもしれない。

「トランプ氏を銃撃した犯人は鎮圧されたものの、他にも狙撃犯がいるかもしれず危ないのではないか……?」

最初に断言しておくと、今回、銃撃を許したことは管轄警察署(警備本部)とシークレットサービス(日本でいうSP〈セキュリティポリス〉)の失態だったが、撃たれた後の行動は完璧と言っていいものだった。

しかしその中で唯一、安全な場所へ避難する“トランプ氏の頭が丸出し”という、明らかに危険な状況が発生したのだ。

VIPの警護を経験している筆者の正直な感想は、「トランプ氏のガッツポーズは、警護対象者にはやってほしくない行動だな」ということ。せっかく防弾チョッキを着た自分たちで囲い、安全を確保しているのに、自ら危険な状況に飛び込んでいるからだ。

ここでトランプ氏の頭をねじ伏せてでも自分たちの盾の中に入れることもできただろうが、現時点で世間的には「トランプ氏よくやった!」という評価だ。

勝手な行動を許したらダメだろうという意見はあるものの、結果的に有効なアピールとなったし、政治家にとってそれは重要なことなので、どこまで許すのかは難しいところだ。

2022年7月8日に奈良県で起きた安倍元首相の悲劇も、そばに警護がついていなかったことが問題だった。これは、日本の伝統的に、応援演説の際、有権者に対して物々しい雰囲気を出したくないという配慮があったためだ。これが政治家の警護の難しいところでもある。

今回の事件の場合、1発目の銃弾がトランプ氏の右耳上部を貫通した3秒後には、そばにいたシークレットサービスがトランプ氏に覆いかぶさっている。日本と違い、半径1m以内の直近警護ができていたからだが、トランプ氏のガッツポーズまでは止めることができなかった。

日米のシークレットサービスの違い

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