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大谷翔平の新居「晒すメディア」なぜ叩かれるのか スターや芸能人の個人情報への向き合い方の変遷

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時40分

また、その後の7月11日になって、週刊誌「女性セブン」と、そのウェブ版である「NEWSポストセブン」が、「大谷翔平、ロスの『12億円豪邸』を売却の意向『もうあそこには住めない』と怒りの決断か」の見出しで続報を伝えた。新居に越さないまま手放す可能性に触れつつ、その背景にロサンゼルスで問題となっている集団強盗を指摘している。

マスメディアによる過熱報道

こうした転居報道を受けて、SNS上ではメディアに対するバッシングが強まっている。「プライベートを暴露するのはいかがなものか」「テレビ局は引っ越し費用を負担すべき」「大谷選手と家族を危険にさらしていると気づいているのか」などなど、いわゆる「マスゴミ批判」からの投稿が相次いだ。

マスメディアによる取材に「行きすぎている」と指摘が入ること、それそのものは珍しくない。「メディアスクラム」と呼ばれる過熱報道によって、関係者や周辺住民のプライバシーが侵害されるケースは多々あり、たとえば1994年の松本サリン事件では、被害者が警察やマスコミの取材攻勢によって犯人扱いされ、後に大きな社会問題となった。

それから徐々にプライバシー意識は高まっていったが、つい最近まで、芸能人や公人に準ずる人物であれば、「有名税」として処理されることも多かった。2018〜2019年ごろの小室圭氏をめぐる取材は、「皇族の婚約者」であることも背景にあり、競うように各社が報じた。

こうした取材の根底には、注目人物においてはプライバシーよりも、ニュースバリューが優先されるとの考え方がある。今回のフジや日テレ報道をめぐっても、「公益に資する情報だ」「読者の興味にメディアは忠実であるべき」といった擁護は見られる。しかし、一時期ほど、そうした論調はないようにも感じられる。

なぜ風向きが変わったのか。まず可能性として考えられるのが、コロナ禍による影響だ。一時期はスタジオ収録であっても、ソーシャルディスタンスを保ったうえに、人数を絞って番組作りが行われていた。報道においても、あれだけ「密」を避けるよう呼びかけておきながら、みずからが「不要不急な取材」をしてしまえば、ダブルスタンダードではないかとの指摘は避けられない。

高まる「プライバシー暴露報道への嫌悪感」

もうひとつの要素が、芸能人の自死だ。その背景には、SNS上での誹謗中傷のみならず、いまに至るまで理由がはっきりしていないケースもある。おそらくコロナ禍で、職業や人生の先行きが不透明になるなかで、心理的な不安を抱えていったのだろう……と察するほかないが、相次ぐ報道によって、世間一般に「著名人でも、ひとりの人間だ」といった考え方が広がるきっかけになったのは間違いないだろう。

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