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大谷翔平の新居「晒すメディア」なぜ叩かれるのか スターや芸能人の個人情報への向き合い方の変遷

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時40分

そこへ映画界やアイドル界などでの「性加害」問題が重なった。個人の権利が重んじられるようになり、それは著名人であっても例外でないと理解されてきた結果、さらに「プライバシー暴露報道への嫌悪感」は高まったのではないか。

大谷選手や、アスリートをめぐる情勢も変化した。改めて言うまでもないが、元通訳の水原一平氏による不正送金事件を経て、大谷選手に共感する人は増えたはずだ。そもそもプライベートの暴露は受け入れられにくいが、そこへ「被害者である大谷さんに、さらなる追い打ちをかけるのか」といったストーリーが重なることで、より受け手は感情移入しやすくなる。

もうひとつの要素が、フィギュアスケート・羽生結弦選手の結婚報道だ。羽生選手は2023年8月に結婚を発表するも、11月に「離婚するという決断」をしたと告白。その理由として、当時の妻や親族、関係者などに対して、「誹謗中傷やストーカー行為、許可のない取材や報道」が行われたことを挙げた。

メディアが取る責任とは

羽生選手の「お相手」については当初、あまり各メディアでは報じられなかった。しかし、妻の出身地にあるローカル紙が、「地元の話題」の一環として実名を報じたことから、週刊誌なども追随した経緯があった。

そして最終的には、「許可なき取材」などを理由に、離婚に至ってしまった。どれだけ日本を代表するアスリートであっても、その家庭を破壊するまでの正義を「報道」は持っているのか。おそらくメディアに対する不信感が強まった人々は多いはずだ。

ざっと考えるだけでも、これだけの要因が思い浮かぶ。いずれも大谷選手への同情や、マスコミへのバッシングを呼ぶ要素となっているが、裏を返すと、これらの機運が醸成されていなければ、「入居断念するほどか?」「大谷は過剰反応」「天狗になった」といった批判が起きていた可能性もある。どれだけメディア取材が強引でも、バッシングの余地があれば、たたくのが現代人、とくにSNSユーザーの習性だ。

かつて著名人の自宅や事務所ネタは、ワイドショーや週刊誌の定番だった。人気歌手の豪邸が、離婚の財産分与でどうなるかだの、人気ミュージシャンが建てたカラオケボックスに、肝心のカラオケ機器がデカすぎて搬入できないだの……。

今になって思うと、もし、こうした報道を見て、悪だくみした連中が強盗に出向いたら、メディアはどんな責任を取ったのだろう。その当時から「もしも」と考えていたならば、今回のようなメディアたたきは起きていなかったはずだ。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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