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NYタイムズ「7年で売上半減」から劇的復活した訳 老舗企業をV字回復させた「すごいDX処方箋」

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 11時30分

この偉業は投資家たちの注目を集め、2016年から2021年までの6年間で株価は261%も急騰しました。当時の年次報告書には、将来を見据えた新しいビジョンが次のように記されています。

「NYタイムズは、世界を理解し、世界と関わりを持とうとするすべての英語圏の人々にとって、購読者に欠かすことのできない媒体となることを目指している」

世界的権威が考案した「DXロードマップ」

では、なぜ、NYタイムズが、わずか数年で最悪期を抜け出し、DXを成功させた代表的な企業へと劇的な転身を遂げたのでしょうか? 

DXは、企業の生き残りがかかっているきわめて重要な挑戦です。この負けられない戦い、厳しい道のりを着実に進み、単なるデジタル化の推進ではなく、真にインパクトのある企業変革、イノベーションを実現するためには、必要不可欠な5つのステップがあります。

その5つのステップを着実にクリアしていくために、コロンビア・ビジネススクールのデビッド・ロジャース教授が考案されたのが、DXロードマップです。

そしてNYタイムズは、生き残りをかけて、変革を阻んでいた5つの課題を1つひとつ解決し、DXロードマップの5つのステップすべてを実行するという旅路を、見事にやり遂げたからこそ、劇的な転身を遂げられたのです。

DX成功への旅路の最初のステップは、明確な将来の「ビジョン」を描くことから始まりました。報告書が世に出た翌年には、「われわれが進むべき道(Our Path Forward)」と題する戦略文書が発表され、紙媒体の収益をしのぐデジタル収益をあげるという野心的なビジネスモデルが明確に打ち出され、5年間でデジタル収益を2倍の8億ドルにするという目標が掲げられました。

インターネットが既存の広告市場を破壊し続けるなか、NYタイムズに残された唯一の生き残る道は、ビジネスモデルを「再構築」することだったのです。まさに同社史上最大の戦略的転換で、ビジネスそのものの刷新が待ったなしでした。

「NYタイムズをネットフリックスのようにする」

第2のステップである、戦略的優先順位も、この戦略文書で明らかにされました。「NYタイムズ紙の購読を、ネットフリックスやアマゾンプライムのように生活に欠かせない存在とするために、商品体験を変革する」「読者層を海外に広げる」「魅力的な広告フォーマットを生み出し、デジタル広告を成長させる」「社員の仕事を、デジタルプラットフォームと読者体験に沿ったものに転換する」といった、具体的な優先順位が示されることで、全社でこの変革で目指すところが共有されたのです。

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