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真面目な人ほど「就活」で損する演技社会の「茶番」 会社が求める演技をできる人が評価される現実

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時0分

舟津:高校くらいまでだと、運動ができない、勉強ができない、恋愛ができないといったことにコンプレックスを持つのは、ある程度伝統的な悩みですよね。そして現代では、演技ができないってコンプレックスが新たに加わっている。

演技は社会の潤滑油でもあって、必要な機能です。ただ集団のノリで演技を強要して、演技ができないから集団からこぼれるっていうのは何かがおかしい。でも現実的に今、大学の中の友達付き合いでも就活でも、ノリを演技することが求められるんですよね。

鳥羽:そうなんですよね。「サイコパス」という言葉が出てきた背景にも、それがあると思います。ノリが悪い人をおかしな人扱いするための便利な言葉として使われてしまっている。

舟津:中身のない言葉、唯言としても「サイコパス」や「何とか障害」が多用されていますね。ノレない人は「何かの病気だから」と。

鳥羽:大学のサークルとかは特にそこがはっきり出るところですよね。ノリがいい=社会化、大人化とされる。サイコパス的に自分の欲望にこだわるのは「中2だ」とバカにされる。

教室で子どもたちを見ていると、頑張ってノッていこうという動きが高校生になると段々先鋭化してくる。中学校まではまあ好きにやっている子が多いのですが、高校入学あたりから社会化の方向に一気に舵を切る子は多いです。小6から高3までという長い時間軸で子どもたちの変化を見ているので、どうしてもそういうダイナミズムがくっきりと見えるときがあります。

舟津:似たような例として、「先生の授業は面白いから出たいんだけど、友達グループが出たがらないから来づらい」とコメントペーパーに書いている学生がいました。

鳥羽:来ればいいのに、と思いますね(笑)。

舟津:まさに自分の欲望の問題ですよね。自分が来たいと思ったら来ればいいのに、「ノリが悪い」と言われるから来れない。「友達みんなで楽しくサボってるのに、ひとりだけ授業に出るやつって、ちょっとヤバいんじゃない?」って、なるんですよね、たぶん。

鳥羽:そうなのでしょうが、しょうもないですね。

先入観ありきの友達作り

舟津:私の理解では、高校まではクラスで固まる凝集性が高く、対して大学は自由に独りになれる、孤独を許容する場所だと思っています。でも、むしろ今の大学って独りにさせないようにできているんですよね。例えば特に文系学部では、大学の偏差値によらず、ベーシックセミナー(入門演習、ファーストイヤーゼミ)と銘打って新入生用のクラスを作ることが多いです。ドロップアウトする子を生まないように、大学側が友達作りの場を授業として用意している。

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