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エバラでも勝てず「宮崎の定番"焼肉たれ"」の正体 宮崎でシェア53.8%「戸村本店の焼肉のたれ」の秘話

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 10時0分

しかも、たれ漬けなら買って帰ったらあとは炒めるだけですよね。精肉店はちょうど県立日南病院に近くて、仕事が忙しい看護師さんたちが帰り道に寄ってくれていたので、うまくマッチしたようです。

たれ漬けの肉はおいしくて手軽ということで、どんどん売れて、すると今度は「たれだけ売ってほしい」という話になったらしく、お玉1杯50円でビニール袋に入れて販売するようになりました。

南国の甘い味文化

―「戸村本店の焼肉のたれ」はかなり甘めの味ですが、宮崎の人たちの味の好みはどんな感じですか?

醤油が甘くて、それに子どもの頃から舌が慣れているので、同じように甘い焼肉のたれがすっと受け入れられたんだと思います。うちのたれは、宮崎の次によく売れているのが鹿児島です。同じように甘い醤油文化の土地だからでしょう。甘めの味が南九州で支持されている要因としては大きいのだと思います。

ほかの宮崎の料理も甘めの味付けが好まれていまして、僕は夏にはところてんをよく食べますが、甘い醤油と砂糖をかけて食べています。

―黒蜜と変わらない、もしくはそれ以上の甘さですね(笑)。宮崎で人気の醤油ってありますか。

宮崎全体でいうと、いろんなメーカーがあって人それぞれ使う醤油は結構ばらけていますね。でも昔から地元に根付いた醤油屋さんがあって、地域ごとによく使われて親しまれている醤油はあります。日南には「マルタニしょうゆ」が昔からあって、宮崎の中でもかなり甘めの醤油なんですが、こっちは多くの人がそれに慣れていますね。

―宮崎も鹿児島も醤油は地域や人によってそれぞれですが、たれに関しては「戸村本店の焼肉のたれ」が圧倒的シェアを占めていますね。

ありがたいことです。当時は今みたいにいろんなたれがなかったのも大きいと思うんですよ。醤油、砂糖、みりんなど調味料単体としてのみで、家庭でいろいろ組み合わせて使っていたのが、うちのたれを使っていただけることでまた手間を省けたり、違った味を楽しんだりしていただけたのかなと。

―九州以外での土地での売れ行きはどうでしょう?

東京でも結構買っていただいているようです。東京は地方の人たちが集まっている土地じゃないですか。そこで宮崎、鹿児島出身の方がうちのたれを見かけると、なつかしいと買ってくださるようです。

あまり取引のなかったエリアのスーパーに行ってみたら並んでいたことがあります。「これは売れていますか?」と聞くと、「たくさん売れるかは微妙ですけど、仕入れてほしいとリクエストがあるんですよ」と。そうやって支持してくださっている方がいるんですね。

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