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なぜ?「N-BOX」新型登場でも10%以上の販売減 好敵「スペーシア」と異なる商品力の改め方

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時30分

スペーシアの後席は、マルチユースフラップが使い勝手を高めている一方で、座面の硬さに偏りを生じさせており、座り心地はいま一歩だ。

しかし、外観の存在感、内装の見栄え、快適装備のわかりやすさなどは、スペーシアが勝っている。

N-BOXの開発者は「内装の形状を工夫したから、スリムサーキュレーターがなくても、後席までエアコンの冷気が届く」というが、そういう話ではない。天井に送風機が装着され、後席に座った乗員の顔にエアコンの冷風を当てられることが、有り難みや価値なのだ。

これらの効果により、スペーシアの売れ行きは好調で、2024年上半期は前年同期比で40%も増えた。販売が1.4倍に増えた分、10.3%減ったN-BOXとの差が縮まったわけだ。

実際、2024年5月はスペーシアが国内販売の1位になってN-BOXは2位に後退している。6月はN-BOXが抜き返したが、スペーシアがN-BOXを上回ったのは、2022年5月以来だからニュースである。

なお、スペーシアを扱う業販店(複数メーカーの車両を販売する小規模ディーラー)からは、次のような話も聞かれた。

「ダイハツが認証不正問題で『タント』の出荷を停止したときは、お客様が一時的にスペーシアに乗り替えた。ホンダとは付き合いがないため(業販店の販売比率はスズキとダイハツが圧倒的に高い)、N-BOXへの乗り替えはなかった」

あくまでタントの出荷停止期間中の話だが、スペーシア好調の背景には、ダイハツの認証不正問題もあったと見られる。

新しいN-BOXの真価はこれから

ホンダにとってN-BOXの不振は、深刻な問題だ。近年のホンダでは、N-BOXの販売比率が過剰に増えて、2023年に国内で販売した新車の約40%をN-BOX(主に先代型)が占めていた。N-BOXの不振は、国内販売全体に影響する。

そこでホンダは、先代のときと違ってN-BOXの販売促進を積極的に行っている。残価設定ローンなどに実質年率2.5%の低金利を適用したり、5万円のディーラーオプションをプレゼントしたりといった施策を実施。N-BOXは今後、ますます購入しやすくなるだろう。

また、N-BOXの販売をテコ入れする対策として期待されるのが、「N-BOXジョイ」という車名が噂されている派生車種だ。スズキ「スペーシアギア」、ダイハツ「タントファンクロス」、三菱「デリカミニ」と同様の、SUV風のモデルである。

このクルマについて販売店に聞くと、以下のように説明された。

「詳細は未定だが、SUV風の派生車種が(2024年)9月か10月ごろに追加されることは間違いない。車名はジョイになる。標準ボディをベースに、外観をSUV風にアレンジして、エンジンはターボも用意する」

N-BOXジョイは、今までのN-BOXの経緯を踏まえて開発され、デザイン、機能、価格も含めて魅力的な商品になるに違いない。新しいN-BOXの真価は、これから発揮されるのだ。

【写真】新型「N-BOX」のデザインを改めて見る(30枚以上)

渡辺 陽一郎:カーライフ・ジャーナリスト

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