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「リポビタンD炎上」背後に"男らしさ"の負の遺産 "女人禁制"からの急な方向転換が原因か【前編】

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 13時0分

電車内に掲載されていた大正製薬「リポビタンD」の広告(編集部撮影)

最近、ひっそり変化していた「リポビタンD」

「ファイト、一発!」

【画像8枚】すっかりエナドリに追いやられ、衰退の一途な「栄養ドリンク」。右肩下がりのリポビタンDの販売推移と、棚を占領するエナドリの様子

筋肉隆々の男2人が、この言葉を叫びながら「リポビタンD」という大正製薬の栄養ドリンクを飲むテレビCMが、ここ10年近く放映されなくなったことに、お気づきだっただろうか?

「危機一髪シリーズ」と題して、勝野洋、真田広之、渡辺裕之、宍戸開、滝川英治、ケイン・コスギ、山口達也など、日本版『エクスペンダブルズ』とでもいうべき、芸能界屈指のマッチョマンたちが2人1組のバディを組んだ同商品のCMは、ときに崖をよじ登り、あるときは縄の切れた吊り橋をひとりで食い止め、さらに激流の中で岩にしがみついて「ファイトー!」と叫び、もうひとりが手を差し出して「一発!」と叫び、最後は仲良く同商品を飲む。

「飲む順番が逆だろ」というツッコミも定番だが、リポビタンDといえば、このような「男らしい」CMでおなじみだった。

それが、昨今の時代背景を反映してか、2010年代の後半からは大谷翔平やリーチ・マイケルと堀江翔太、八村塁など人気アスリートたちが練習するCMへと変わる。

そして、ついに今年の6月からは妻夫木聡と木南晴夏が広告に起用されるようになり、一気に「さわやか」なイメージとなった。これまで同商品のCMに女性アスリートは出演してきたものの、女優がメインに据えられたのは初めてのことである。

【画像8枚】すっかりエナドリに追いやられ、衰退の一途な「栄養ドリンク」。右肩下がりのリポビタンDの販売推移と、棚を占領するエナドリの様子…を見る

意地悪な言い方をすれば「女人禁制」の世界だったのだが、急な方向転換はトラブルのもとになりかねない。7月4日にインターネットニュースサイト「ねとらぼ」は「『鬼すぎない?』 大正製薬の広告が“性差別”と物議……男女の“非対称性”に『昭和かな?』『時代にあってない』」という記事を配信。

同記事いわく、電車内などに貼られているリポビタンDの広告の木南の側に添えられた「仕事、育児、家事。3人自分が欲しくないですか?」というコピーに苦情が殺到したらしい。要は「仕事、育児、家事を女性に押し付けていて、男性は家のことをなにもしないじゃないか」と、性別役割分業意識が問題視されたというのだ。

このことは翌日のインターネットテレビ「報道リアリティーショー ABEMA Prime」でも取り上げられ、「誰かを貶めるつもりはなく、根底には“応援したい”という思いがあるはずだ。怖いことを言わずに、そこは汲んでくれてもいいのではないか」(ミートたけし)や「当たり前のことを言ってしまっているので、男女を逆にすればよかった。男性のほうが“育児も家事も仕事も、リポビタンDがないとやっていけない”という宣伝のほうがおもしろいと思う」(薄井シンシア)などの声が上がった。

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