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「商品数を3分の1に減らした」銀座伊東屋のその後 「楽しめる文房具屋」のためにやってきたこと

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 9時30分

その他、1階には、オリジナルのドリンクスタンドが設けてあるが、お客はここでオーダーしたものを飲みながら、店内をめぐってもいいという。

伊東屋銀座は、過ごす時間と空間の豊かさを提供する『伊東屋らしさ』を体現しているのだ。ブランドを象徴するリアルな場があることが、お客にとっても社員にとっても有用に働いている。

銀座店が備えているこの世界観は、他店舗にもっと盛り込まれていったらいい――そんな欲張りな思いを抱いてしまった。

伊東屋がミッションとして掲げているのは「クリエイティブな時をより美しく、心地よく」だ。「私たちがサポートさせていただきたいのは、前向きにクリエイティブな仕事をしている人であり、その環境が美しく心地よくあってほしいと考えています」(伊藤さん)。

クリエイティブな仕事というと、建築家やデザイナーなど、限られた職種と捉えられがちだがそうではない。自分の仕事をおもしろがり、日々、何らかの工夫を重ねている行為にはクリエイティブが宿っている。「僕自身も気持ちよく仕事したいので、『美しく、心地よく』という文言を入れました。

パリの“メゾン”のような在り方目指す

冊子『伊東屋らしさ』について、この秋には改訂版が出るそうだが、基軸は変えずにディテールの見直しを行った。ともすると、この手のブランドブックの改訂は、全面刷新となり、受け取る社員が戸惑うケースが少なくはない。だが、こうやって基軸をぶらすことなく丁寧に見直し、磨いていくやり方は、ブランドを鍛えていくのに有用と感じた。

伊藤さんはまた、銀座通連合会副理事長という役割を務めており、銀座の街をよりよくしていく活動にも力を注いでいる。「パリで、いわゆる“メゾン”の地位を獲得しているブランドは、自ら商品の企画から製造、販売までを一貫して行っていて、うちもそこを目指しています」(伊藤さん)。

目の前にお客がいて、そこに向けたものを作ったり選んだりし、買ったお客が愛用することで信用を得ていく。その積み重ねにこそ、“らしさ”が宿り、ブランドとしての価値が培われていく。伊東屋の強みはそこにあり――伊藤さんの話を聞きながら、そんなブランドのありように思いが及んだ。

川島 蓉子:ジャーナリスト

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