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営業マンなしで「年400万本」売れる焼肉たれの秘密 「戸村のたれ」なぜ小さな肉屋のたれが全国へ?

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 10時0分

その人たちが自分の商品を並べるときに「戸村本店の焼肉のたれ」を見るわけです。すると「うちにも売らせてくれんか」と、取引業者がさらに増えていきました。一番ポンと広がったのはそこだと思います。スーパーを展開することで取引先が飛躍的に伸びました。

―日ごろの商売が自然と営業につながっていたんですね。

うちから売り込んだら「返品はきくの?」とか卸値とか、いろんな条件を交渉しないといけなくなります。でも取引業者から申し入れてもらえると、「この条件でなら卸せますよ」と伝えて判断してもらうだけでいい。リスクも減るのでありがたいんです。

そうして、スーパーの展開とたれがお互い相乗効果でどんどん成長していきました。さらに、牧場を運営して肉の生産も手がけたり、「堀川レストランとむら」を出して飲食も始めたりと大きく成長していきました。1990年には戸村フーズも設立して、たれ製造のための本格的な工場を建てました。

※編集部注 株式譲渡により2021年から戸村精肉本店をはじめとする系列会社は、株式会社マルミヤストアの完全子会社となっている。

―今はネットの口コミで広まったりしていますね。

今は、クックパッドなどのレシピサイトで、うちのたれを使ったレシピを乗せてくれている方がいます。そういったところでもまた知られていったようです。

「戸村本店の焼肉のたれ」にキュウリを一晩漬けこむレシピなど、僕たちが考えつかないようなレシピで紹介されているのもあって面白いですね。そういった情報も広まるのに影響していると思います。

たれ製造工場を少しずつ拡張して今や6代目

―これだけ事業が拡大していくと、たれ作りもペースアップしないといけないですよね。

私が入社した当時は、たれ作りはスーパーの2階で鍋で炊いて作っていました。たれをやかんに移して、やかんから容器に移して、キャップして木づちでぱんと打って出来上がり。それを並べてラベルを1枚ずつ貼っていった感じです。

そして、バナナの空き箱にたれを50本並べて出荷していました。材料であるバナナの空き箱がいっぱいあったので、それを生かせばいいかということで。後から箱を作りましたけど、昔はバナナ箱だったんですよね。

でもスーパーの2階がすぐに手狭になり、スーパーの横に土地を買ってたれ工場を作って、そこも手狭になったんでもう別のところにたれ工場だけを作って……ということを繰り返してどんどん工場が大きくなって今のここは6代目です。

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