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営業マンなしで「年400万本」売れる焼肉たれの秘密 「戸村のたれ」なぜ小さな肉屋のたれが全国へ?

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 10時0分

助言に従い、ひとまず倍の大きさの釜を作ってもらうことにしました。

まずは実験的に1個だけ作って、たれの味が復元できるか検証しました。そしたら最初は同じ味にはならんかったですよ。材料を倍にして入れても、味が一緒じゃなかったです。だからそれから何回も試作をして、元々のたれの味にしていきました。

倍であれだけ悩まないかんなら、これを3倍にして4倍にしたら、味を守れなかっただろうなと。だから今のたれの味があるのは、その人のおかげだと思いますね。試作してうまくいった段階で、10個発注しました。2022年に揃い今は全部稼働しています。

―多くの食品メーカーを見てきたからこそのプロフェッショナルの意見ですね。

福岡のその地区は、町工場がたくさんあって。釜、ネジ、砥石など、それぞれが専門分野を持っていて、依頼がきたときにそれぞれの工場で作ったものを持ち寄って作る協力体制ができているようです。技術を持っている人たちが、ちゃんとしたものをちゃんと作るっていう商売を続けてらして。いいものを作っていただきました。

―釜を新調されて、たれの生産体制は落ち着きましたか?

それが釜を新調した今でも目いっぱいなんです。よく、新しい商品を考えないかんって言われるけど、毎週月曜日にドレッシング、火水木金にたれを作っているので、もうほかに入れる余地がないくらいですね。

―「戸村本店の焼肉のたれ」が根強い人気だからこそ、わざわざ違う味を作る必要はないのかもしれないですね。

でも、もしも会社的に成長しようとすると、そういったものを手がけていかないと難しくなると思うんです。しかしそうなると人手がさらに必要になりますよね。

日本のどの地域も同じ課題を抱えていると思いますが、少子高齢化の今、人手の確保は大変です。なので、たれの充填やラベル貼りなど、味に影響のない部分は全部機械化しました。そして、機械化できない直火でのたれ作りの部分に人員を割くようにしています。

ベースの直火は変えない。だからどのように今後続けていくかというのが今、思案のしどころです。

マトンのたれに合うかも!?

―今後の展望など、最後にお聞かせいただけますか。

展望となると、生産体制や人手の課題が絡むので、あくまで僕が考えている「これができたら面白い」っていうお話をしますね。

北海道のマトンの焼肉に、うちのたれと合うんじゃないかって思って。うちもマトンを仕入れてうちのたれで食べたらおいしかったんですね。マトンはもやしと一緒に食べることが多くて、これもまたうちのたれと合うんですよ。

―北海道の方でも、甘い味付けは好まれるのでしょうか?

わからないんですけど、北海道のジンギスカンの焼肉は、案外フルーティーで甘系のたれが多いんですよね。ということはうちのたれも、もしかすると受け入れられる可能性はあるのかなって思ったことから始まっています。北海道の焼肉文化にうちのたれが関われたらおもろいかなと。

―これができたら南と北のコラボですね!

でもそのために一番大切にしないといけないのはやはり“ちゃんとしたものをちゃんと作る”ことです。きちんとした仕事をして伝承していくことが一番の展望かなと。当たり前が一番難しいですね。

【その他の画像も】「年400万本売れる」「工場はなんと6代目」 宮崎で圧倒的支持!エバラでも牙城を崩せない人気焼肉たれ「戸村のたれ」。美味しさの秘密は、地方の中小企業のたゆまぬ努力にあった…!【全15枚】

横田 ちえ:ライター

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