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営業マンなしで「年400万本」売れる焼肉たれの秘密 「戸村のたれ」なぜ小さな肉屋のたれが全国へ?

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 10時0分

―地道に着実に工場を大きくしてこられたんですね。創業者はどんな方でしたか?

商売人であるのはもちろんアイデア、遊び心、そして決断力のある方でした。とにかくすぐ行動する、そしてやってみてうまくいかんなと思ったらパッとやめる。僕もいろんなところに連れ回されて……いや、連れて行っていただきました(笑)

―やめる決断も大事ですね。

一番の営業は「ちゃんとしたものをちゃんと作る」

―ミヤチクの営業マン、スーパーの取引業者、レシピサイトなど「戸村本店の焼肉のたれ」が広まっていく背景には多くの人たちの推薦があるのですね。

ありがたいですね。そうなると僕たちがする一番の営業というのは、安心安全で、お客さんに喜んでもらえる“ちゃんとしたものをちゃんと作る”ことじゃないでしょうか。これは工場のスローガンにしています。

―当たり前のように聞こえますが、それが実は一番難しいですね。

当たり前を続けるには大変なエネルギーが必要です。それを何十年続けて、伝承していくのは難しいことです。いろんな戦略や狙いがあったとしても、結局のところ作るのは人間ですから。その人たちがちゃんとした考えでやってくれることが大事です。

だからスローガンは難しい言葉を重ねるよりも、ストレートに“ちゃんとしたものをちゃんと作る”って言ったほうが伝えやすいかなと思っています。

町工場の社長の言葉が、たれの味を守った

―たれは一番多い年でどのくらい売れましたか?

2023年が一番多くて約400万本(1本200gのたれ換算)でした。今年の販売数量は500万本を目標にしています。

―売れすぎて生産が追いついていないくらいですよね?

実はそれに伴って、味の危機が一回あったんです。数年前に販売数がどんどん増えてきて生産が追いつかなくなって出荷調整をしました。出荷量を前年度の約50%に抑えて、一回体制を整えることにしました。

当時は普通に市販されている釜でたれを炊いていたんですけど、どうしたら増産体制が取れるかというところで、釜を大きくしようと考えました。そこで、福岡の釜を作る町工場を紹介してもらい訪問しました。

「今の3倍、4倍の釜を作ってほしい」と依頼すると、社長さんが「作れないことはない、しかし工場長、でかくするのがいいんじゃない。せめて倍ぐらいの釜やないと味の調整が難しくなって、それで失敗して廃業されたところがいっぱいある。だから慎重に」と話してくれました。

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