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町中華の「チャーラー」に人はなぜ魅せられるのか チャーハン、ラーメン、交互に食べて得られる幸せ

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 11時30分

それを実感させてくれたのが、名古屋市中村区にある「太陽食堂」だ。ここは名古屋、いや、全国でも珍しいチャーラー専門店。つまり、メニューは焼きめしと中華そばのみ。それぞれ単品でも注文することはできるが、大半の客はチャーラーを目当てに訪れている。

不思議なことに、ここで焼きめしを食べると中華そばが、中華そばを食べると焼きめしが無性に食べたくなる。店主いわく、

「それぞれ単品で食べると、あえて物足りなく感じるように作っています。チャーラーはセットメニューではありますが、僕は一つの完成された料理だと思っています」とのこと。

町中華のチャーラーは、鶏ガラスープのシンプルな醤油ラーメンとチャーハンの組み合わせが一般的である。同じようなビジュアルでもラーメンはスープのコクや醤油の香りなどが店によって異なるし、チャーハンもパラパラ系、しっとり系と食感も違う。チャーラーの楽しさはそこにあると思っていた。

しかし、ラーメン店、とくにご当地ラーメンの店の場合、ラーメンそのものが大きく異なる。例えば、九州でラーメンといえば、豚骨ベースの長浜ラーメンや久留米ラーメン、熊本ラーメンなどを指し、サイドメニューに半チャーハンを用意している店も少なくはない。

ところが、実際に食べてみると、これが絶妙なのだ。豚の旨味を余すことなく抽出したスープを飲んでからチャーハンを頬張るとおいしさは倍増する。もう、レンゲを持つ手が止まらないくらいに。豚骨ラーメンに欠かせない紅ショウガや辛子高菜もチャーハンとよく合う。

チャーラーといえば醤油ラーメンと決めつけていた自分が恥ずかしくなった。同時に地方には独自のチャーラー文化が存在すると思い、ますますチャーラーの魅力に惹かれていった。

名古屋のモーニングがヒント?

名古屋におけるチャーラーの発祥は諸説ある。その一つは、千種区覚王山の「眞弓苑」が発祥という説だ。1997年頃、中国のホテルで料理人として働いていた蔡洪涛(さい こうとう)さんが働きはじめ、料理長の渡邊長生さんと出会う。蔡さんは本場中国の味を、渡邊さんは日本人が好む町中華の味を互いに教え合い、親交を深めた。

そんな2人はドリンク代のみでトーストやゆで卵が付く名古屋の喫茶店のモーニングサービスを参考に、ニラレバ炒めや青椒肉絲などメイン料理とミニラーメン、ご飯を組み合わせたセットメニューの提供をはじめた。チャーラーはその中の一つだったのである。

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