女性の方が「器用に噓をつける」脳科学的な根拠 とりあえず「かわいい」「ウケる」もその表れ
東洋経済オンライン / 2024年7月19日 16時30分
職場や学校など、集団の中で過ごす際には「まわりに合わせること」や「和を乱す行動を取らないこと」などが求められます。とくに日本においては、「場の空気を読むこと」が重視される傾向にあるといわれています。それはなぜなのでしょうか。
脳科学者・中野信子氏の著書『新版 人は、なぜ他人を許せないのか?』より、日本人と集団主義の関係について、解説します。
日本で集団のルールに逆らうことの難しさ
集団の構成員が、集団の決まりに異を唱えにくくなってしまうことの典型例があります。最近よく議論される働き方です。
新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期には、「不要不急の外出は控える」ということで、エッセンシャルワーカー以外にはリモートワークが推奨されました。
都市部における業務のうち、事務的な作業の多くの部分は、パソコンやスマートフォンなどでいつでもどこでも行える状況にあることを考えると、もし、出勤することが、ただ自分が働いていることを目視で確認してもらうためだけに行う行動なのだとしたら、わざわざ毎日オフィスに出向いて働かなければならない理由はありません。
コロナ禍以前から、ある程度はこのような状況はできつつあり、誰もがそうなのではないか? と気づいていながらも、慣例的に出勤し続けてきたと思います。
毎朝遅刻せずに会社に出てくることこそ模範的な会社員だという考え方が、集団内、ないしは社会のなかで当たり前のものとされている以上、それを社員の方から言い出すのは、なかなか難しいわけです。
出勤が週2日で、週3日は自宅勤務が可能なら家で家事や育児ができる、往復2時間の通勤がなければ、その分、子どもと触れ合う時間が増える、などということは誰もが気が付き、望んでいるにもかかわらず言い出せません。
コロナ禍の自粛期間が明けるとともに、出社して仕事をするスタイルに戻す企業も多くなっているようです。リモートワークの良い面も悪い面もわかったうえでの判断であればいいのですが、何よりも集団のルールを重視する日本人は、「こういう状況だから仕方がありませんね」と集団内の誰もが納得できる理由がなければ、たった1人ではみなと違う行動が取れないのです。
たった1人でエスカレーターの右側(大阪では左側)に立ち止まることができないのと、理屈上は同じです。
かつて政府が推進していた「プレミアムフライデー」も同じようなものでしょう。毎月最終金曜日は15時になったら帰ろう、といくら旗を振ってみたところで、「得意先から15時以降電話がかかってきても受けられないなんて、そんなバカげた話があるか」ということで、うやむやになってしまったようです。得意先の人も強くうなずいたことでしょう。
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