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半世紀も"主役"フロッピーディスクの栄枯盛衰 「なにそれ?」と知らない世代も増えてきた

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 8時0分

IBMは、エンジニアのアラン・シュガートを責任者に据え、パンチカードや磁気テープよりも手軽にソフトウェアや更新用データを読み込ませられる記録システムを開発する「Progect Minnow(プロジェクト・ミノウ)」を立ち上げ、プロジェクトメンバーの1人が「メモリーディスク」と称するまったく新しい磁気ディスク装置を提案した。

メモリーディスクは8インチの柔らかい円盤に磁性体を塗布したもので、80kB(キロバイト)の記録容量があった。いまでは微々たる容量だが、これは当時使われていたパンチカードで言えば3000枚に相当する容量だ。ただ、ディスクにはホコリが付着しやすく、汚れやすいものだったため、チームはホコリを除去するための不織布を裏打ちした薄い樹脂製のスリーブにディスクを収めることにした。こうして開発されたのが最初の8インチフロッピーディスク(8インチFD)「IBM 23FD」になった。

8インチFDは、パンチカードなどに比べてデータの入出力が素早く簡単にできるメリットが評価され、多数のシステムで採用されるようになった。さらに1972年にはソフトウェアフォーマット方式を導入して、容量が400kB(フォーマット後は250kB)へと大きく向上した「IBM 33FD」が登場し、以後も1977年に登場した合計記憶容量1.6MB(メガバイト、フォーマット後は1.2MB)の「IBM 53FD」まで、段階的に改良が重ねられていった。

ちなみに、日本ではドクター中松こと中松義郎氏がフロッピーディスクを発明したと思っている人が多い。IBMは、ニューヨーク・タイムズの記事のなかで、フロッピーディスクはあくまで自社が発明したものだとし、中松氏といくつかの特許使用契約を結んだことはあるが、それはFDに関するものではないとしている(当時のIBMは新製品を市場投入する際、のちのち権利を主張され紛争になりそうな技術特許を調べ上げ、あらかじめ権利問題をクリアにしていたと言われおり、その一環として中松氏が所有する特許に関する使用契約も結んでいたと考えられる)。

したがって、IBMはアメリカだけでなく日本でも審査を経て、発案者としてフロッピーディスクおよびフロッピーディスクドライブ(FDD)の特許を取得している。この使用契約が逆に、中松氏が自身を発明者だと主張する根拠になったのかもしれない。

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