半世紀も"主役"フロッピーディスクの栄枯盛衰 「なにそれ?」と知らない世代も増えてきた
東洋経済オンライン / 2024年7月19日 8時0分
企業で使われるようになった8インチFDは、当時マイクロコンピューター(マイコン)と呼ばれていた、個人向けコンピューターやワープロ用の記録メディアとするには、サイズ的に向いていなかった。
そこで、8インチFDの開発を主導したシュガートは、IBMを離れて自ら設立した会社Shugart Associates(シュガート・アソシエイツ)で、ディスクサイズを縮小した5.25インチFDを開発した。
1976年に発表された5.25インチFDと同FDDは、アップルコンピューターの共同創設者であるスティーブ・ジョブズの目に留まった。ジョブズは、1977年に発売されたパーソナルコンピューター「Apple II」に5.25インチFDを採用すべく、シュガートを何度も訪ね、安価に製造可能なドライブを作るよう頼み込んだ。そして、最終的にShugart Associatesから制御基板をはじめとする25個のコンポーネントで構成されたプロトタイプFDD、SA-390の提供を受けることとなった。
一方、もうひとりのアップル共同創設者、スティーブ・ウォズニアックは、当時のアップルCEO、マイク・マークラからディスクドライブシステムの設計をするよう依頼されて開発したディスクコントーラーをSA-390と組み合わせて、1978年に「Disk II」と名付けたフロッピーディスクシステムを開発・発売した。
Apple IIと5.25インチFDDの組み合わせは、データ転送速度の遅いカセットテープを記録メディアとして使っていたユーザーの注目を集め、さらに表計算ソフト「VisiCalc(ビジカルク=エクセルの原型)」がビジネスマンを中心とする人々のニーズを捉えたことで、アップルの売り上げを大きく貢献した。こうして5.25インチFDは、ビジネス分野や家庭向け情報機器の記録メディアとして浸透していった。
普及した3.5インチFDはソニー製
FDの進化がさらに進んだ1976年、ソニーは当時新社長に就任した岩間和夫氏が「コンピューターのわからない会社は、90年代に生き残れない」との考えから、自社製コンピューターの開発を開始。1970年代末にはオフィスオートメーション(OA)分野、そしてマイクロコンピューター(MC)分野に向けたコンピューター関連機器を開発した。
そんな中、岩間氏は社内にシステム開発部を新設し「OA分野でのコンピューター機器」を開発するという目標を掲げた。そして、英文ワープロ製品のためのコンポーネントとして、それまで主流だった8インチおよび5.25インチFDを置き換える、さらにコンパクトな磁気ディスクの開発を開始した。
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