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半世紀も"主役"フロッピーディスクの栄枯盛衰 「なにそれ?」と知らない世代も増えてきた

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 8時0分

ソニーのエンジニアたちは、新しい磁気ディスクの仕様は3インチぐらいの大きさがいいと考え、さらに既存のフロッピーディスクでは一部磁気シート面が露出しているのを、シャッター機構で隠せるようにするため、ディスクを収めるスリーブを薄く硬いプラスチックケースに置き換えて設計した。

また、ディスクは小径化しても、記録容量は1MB以上とすることを目標に記録トラックを高密度化させた。その結果、記録および読み取りの正確性を確保するのが難しくなったが、ディスクの中心部にコインのような金属製のハブを取り付け、そこに回転用モーターの軸を固定する仕組みを採用して、ディスクの回転を安定させた。

こうした開発の結果、ソニーは1980年に3.5インチFDを発表し、これを搭載する英文ワープロシステム「シリーズ35」をアメリカ市場に投入した。

ところが、業界や市場では3.5インチFDのほうが注目を浴びることとなった。

ソニーはその後、アメリカでワープロ製品を継続して売るためには3.5インチFDのさらなる普及がカギになると考え、他社製品への採用を模索しはじめた。1982年には自社製パーソナルコンピューター「SMC-70」にもこの3.5インチFDを搭載して発売した。

状況が大きく動いたのは、ヒューレット・パッカード(HP)からこのディスクを採用したいという申し出が舞い込んだことだった。同年のうちにアメリカでは業界団体のマイクロフロッピー・スタンダード・コミッティ(MIC)が立ち上がり、ソニーはHPとともに3.5インチFDDの共同開発などを行いながら、ディスクの自動開閉シャッター機構など、細かい改良を加えた。

その結果、MICは3.5インチFD規格を全米規格協会(ANSI)に提案し、さらに1984年には国際標準化機構(ISO)によって国際規格としてのお墨付きも得た。アップルはこの年に発売したMacintochに3.5インチFDを採用し、さらにIBMもパソコン製品であるPC/ATにこれを採用。数多くのコンピューターメーカーが追随したことで、特にパーソナル製品向けの外部記録メディア大半が3.5インチFDという状況になっていった。

極め付けは1995年、マイクロソフトがPC/AT互換機やNECのPC-98シリーズ向けに、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース=マウスなどでカーソルを動かして使う操作系)を備えた画期的なOS、Windows 95を発売したことかもしれない。インターネット時代の到来とともに登場したWindows 95により、パーソナルコンピューターは一家に1台、オフィスでは1人1台という時代を迎え、人々がデータを受け渡すあらゆる場面で、フロッピーディスクが使われることとなった。

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