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「定職に就けない」40歳男性が退職繰り返す"事情" 「仕事をしたい。社会とつながりたいんです」

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 11時0分

取材に対し、当時の日本郵政公社の広報は「ノルマではなく、数値目標」として一貫してノルマの存在を認めなかった。しかし、2018年には一部メディアがまたしてもかんぽ生命の不適切販売と、その背景にある過剰なノルマについて報じた。まだこんなことをやっているのか――。私は怒りを通り越してあきれた。

ダイゴさんによると、毎朝の“やる唱和”とは別にこんな唱和もあったという。

「私は仕事を愛します! ですので、郵便事業の名誉を毀損するような犯罪や問題は絶対に起こしません」

20年前のことなので、不確かな部分もあるが、おおむねこのような内容だったという。不適切なことをしなければ達成できないようなノルマを課しながら一方で「罪は犯しません」と言わせるのは矛盾なのではないか。

ダイゴさんに課せられた月3件のノルマは、それ自体は非常識とまではいえない水準だろう。1カ月での退職も、一般的には早すぎると思われるかもしれない。ただ早々に退職を決断したからこそ不適切販売に手を染めなくて済んだという見方もできる。

20代後半で発達障害の診断を受ける

しかし、ダイゴさんはその後も定職に就くことができなかった。そして20代後半で発達障害の診断を受ける。これにより、月7万円の障害年金が支給されるようになった。

両親はダイゴさんの障害について理解してくれないという。特に父親からは「大学まで出してやったのに、金をドブに捨てたようなものだ」「仕事が続かないことを障害のせいにして甘えていくのか」と突き放された。

ダイゴさんは転職を繰り返しながら1人暮らしをしていたが、生活費が足りず、両親から金銭的な援助を受けることもあった。しかし、早々に「あとは自分でなんとかしろ」と言われてしまう。実家と疎遠になり、最終的には家賃滞納で住まいを失うことに。一時的に生活保護を利用したものの、ケースワーカーから「仕事を見つけなければ、廃止します」と言われ、自ら利用をやめた。

ダイゴさんは「仕事をしたい。社会とつながりたいんです」と切望する。しかし、実際はもう5年以上ほとんど働いていない。今は親戚の家に居候しながら暮らしているという。

配達中に「もらい事故」

日本郵政公社を辞めてから、ダイゴさんはどんな仕事に就いたのか。

ダイゴさんはその後、同じく日本郵政公社の郵便配達員として働き始めた。非正規職員である「ゆうメイト」だったが、新卒で同公社に就職したときから郵便業務を希望していたのだという。

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