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メリットが多い?外国人「合宿免許に急増」のなぜ 外国籍の運転免許保有者数は10年で25%も増加

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 11時30分

やってみて、と言うだけで詳しく教えてくれない。教官が助手席から突然の急ブレーキ、教官によって言うことが違う……なんて話でハンさんとランさんが盛り上がるが、このあたりは僕たち日本人も教習所でさんざん経験したことだろう。

確かにきつい教官はいた。でも、口やかましく言われたからこそ事故を起こさずにすんでいるのだと感じている人だって多いはずだ。

運転知識や技術に加えて、心も教える

「日本の自動車学校は、運転知識や技術に加えて、心も教えるんです」(金坂さん)

たんにクルマの操作法を学ぶ場ではない。日本の運転マナーやルールをしっかり身につけてもらうことがなにより大切なのだ。

しつこいほどの安全確認、ゆずりあいの精神、ルールの徹底的な学習……こうしたことを教習所で叩き込まれた人たちから構成される日本の道路は、諸外国に比べるときわめて安全で運転しやすい。

日本に住む外国人が増えるにつれ、ルールやマナーを守らないと槍玉に挙げられることがずいぶん多くなった。たしかにこの国はやたらと決まりごとが多く、それが生きづらさにつながっているという面は日本人だって感じる。

とはいえ、日本はルールを重んじることで秩序を守ってきた国なのである。なら、新しい住民である外国人にもやっぱりそのあたりを考えてもらいたいし、交通ルールはしっかり守ってもらいたい。無免許運転や飲酒運転で摘発される外国人もいるが、そういうことにならないための教習所であり、厳しい指導なのだ。

「事故を起こさないため、不幸な人を出さないためのルールなんです。外国人にもそこを学んでほしい」(金坂さん)

ジップラスは多民族化が著しい日本で、運転免許という面から包摂を進めていく企業といえるのかもしれない。

ベトナムでもクルマは運転したことがなかったというハンさんとランさん、いろいろ苦労はありながらも教習所をクリアした。ランさんが苦笑いする。

「縦列駐車、ってあるじゃないですか」

僕もいまだによくミスるやつだ。ランさんも苦手だったというが、実技の卒業検定では練習以上に見事に駐車を決められたのだとか。本番に強いタイプなんだろう。

「でも、そのときにドアを開けますよね」

安全確認のアレだ。ところが折しもタイミング悪く激しい雨の真っ最中、上半身びしょ濡れになってしまったのだという。

「高速道路の教習のときもすごい雨で、トラックがどんどん抜かしていくし怖かった」

それでも道路を走るのは楽しいし、免許を取ったら友達と熱海に行きたいのだとランさんは言う。一方でハンさんも教習所を卒業したものの、実際にクルマを運転するかどうかは決めかねている。

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