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日本で「職場での傷つき」が軽視されている大問題 できる人は「機嫌がいい」「怒らない」だろうけど

東洋経済オンライン / 2024年7月19日 16時0分

職場で傷ついたことはなぜ公言しにくいのでしょうか(写真:PIXTA)

上司から思わしい評価をしてもらえなかった、自分だけプロジェクトから外された、あるいは、部下が自分のことを見下している……仕事場で怒りを感じたり、やってられないと思ったりすることは誰でもあるはず。

しかし、世間では「ご機嫌の作法」「怒らない技術」などが、あるべき仕事人の姿としてもてはやされ、傷ついた人は置き去りになってしまう。仕事場での傷つきはなぜ公言されないのでしょうか。組織開発専門家の勅使河原真衣氏の著書『職場で傷つく』より一部抜粋して紹介します。

「できる人は整っている」への違和感

あれだけやってこの評価かよ。
部下が動いてくれないのは自分のせい?
仕事辞めようかな。

こういうことを思ったことがない人はこの世にいないでしょう。私もありますとも。

でも、できるだけ隠してきました。だって SNSを見てもハレの日の投稿が多いのなんの。そういうメディアだからと言われるとそれまでなのですが、怒ったり、泣いたり、わめいたり。「ネガティブ」さは敬遠されているかのよう。

やり場のない気持ちで書店へ行っても目立つところには 『怒らない…』『ご機嫌の…』『神メンタル…』などの書籍が並び、視線を横にずらしたところで『世界のエリートはなぜ…』『一流の人がやっている…』などが目に飛び込んできます。

――そうか、できる人はもっと「整っている」のか……。

悲しんだり、怒ったり、泣いたり、焦ったり。いろいろと心が揺れ動き、忙しない自分のことが、よりみじめに思えてくることも少なくありません。そして結局、「幸せ」なそぶりを研究しながら、生々しい痛みを堪え、動揺なんてなかったことにして生きていく。

でもこれ、確かに抱いた感情なのに、隠したり、なかったことにしたり、って、どこまでうまくできているんでしょうか。「え、なんで? ひどい」という困惑は、雑音でしかなく、それゆえ忌み嫌い、なきものとしつづけていて、大丈夫なんでしょうか。

これほどキラキラした社会において、大手を振って言い出しにくいことではありますが、「傷ついている」。これが本音ではないでしょうか。

「幸せ」を追い求めたい人間の性は理解しているつもりです。しかし、いや、ゆえに、この「傷つき」の話をしようと思います。それもあえて、仕事における「傷つき」を紐解こうとしています。

なぜか。組織開発者として数々の職場に分け入り、対話するなかで、いよいよ本題に入ったサインが意外にも、「要は自分、『傷ついている』っていうことなのかも」という言葉が本人の口から出たタイミングだと、常々感じてきたからです。

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