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海外の人が驚く「長時間保育大国」日本の実態 変わらなければいけないのは「親の働き方」

東洋経済オンライン / 2024年7月20日 19時0分

働く保護者にとって助けになるのが延長保育。しかし日本ほど長時間保育が普及している先進国はそう多くありません(写真:yuu / PIXTA)

暴力や激しい叱責など、保育施設において子どもの心身を脅かす「不適切」な行為が発生しています。いま保育の現場はどうなっているのでしょうか。長年、保育問題に取り組んできた「保育園を考える親の会」アドバイザー・普光院亜紀さんの新著『不適切保育はなぜ起こるのか──子どもが育つ場はいま』から一部を抜粋し、その背景を3回シリーズでお届けしています。3回目の今回は「長時間保育」に着目しました。

1回目:"お利口な"子が多い保育施設に潜む「不適切保育」
2回目:"不適切保育"から「子を守る」親にできること5つ

気がつけば「長時間保育大国」

認可保育園の保育時間が延びたことで、助かった親たちは多いはずだ。親たちは「会社員の実情に保育園がやっと追いついて普通になった」と感じているだろう。

【画像を見る】認可保育園の延長保育の実施状況はどれぐらいか?

しかし、ふと先進諸国の保育に目をやると、どうも日本ほど長時間保育が普及している国はないらしいということに気がつく。特に、都市部で実施率が9割を超える延長保育の普及状況は、海外の研究者などに驚かれることも多い。

海外の最近のデータや報告を調べると、北欧は特に保育時間が短く、17時、18時には閉園する例が多い。

スウェーデンでは7時から17時30分が平均的な開所時間で、ストックホルムには18時30分までの園もあるが、残業する習慣がないので長時間の利用はほとんどないという。ノルウェーでは17時閉園で15時30分にお迎えのピークがある地域の報告もある。

イングランドでは19時まで開所している施設もあるが、利用を1日10時間に制限している。フランスでは、パリの公立保育園の閉園が18時45分であるという報告の中で、一般の労働者に残業する習慣がないので十分に間に合っていると説明されている。

ニュージーランドの都市部では開所時間が7時から18時という私立保育所が多いが、16時30分までにほとんどの子どもが帰るという園の報告も見られる。

それぞれに労働事情や通勤事情が異なるので比較は難しいが、どの国も日本のように遅い時間までの延長保育を実施していないということは確かなようだ。

延長保育の弊害

図1は「100都市保育力充実度チェック」(保育園を考える親の会)の各年度数値をグラフ化したものだ。

延長保育制度には、1時間延長、2時間延長、4時間延長などの種類があり、各園が地域のニーズに合わせて実施しているが、このグラフは、100の市区に認可保育園の延長保育実施率と平均延長時間(分数)を回答してもらい、全体を平均した数値の推移を表している。

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