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道長は傍若無人?紫式部に見せた意外すぎる素顔 宮仕えを始めた式部、宮中での心に残る逸話

東洋経済オンライン / 2024年7月20日 9時30分

平安神宮(写真:まっつん / PIXTA)

今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は紫式部とのやりとりから見えた道長の素顔や、紫式部の宮仕えのエピソードを紹介します。

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身を隠した紫式部に道長が取った行動

寛弘2年(1005年)頃、一条天皇の中宮・彰子(藤原道長の娘)に女房(女官)として仕えた紫式部。彼女が記した日記を読むと、その宮仕えがどのようなものだったのかを知ることができます。

【写真で見る】道長が紫式部に差しだした女郎花

『紫式部日記』は、寛弘5年(1008年)秋、懐妊した彰子が、父・道長の土御門殿(邸)に滞在しているところから始まります。

道長の邸は、色づいた木々と池があり、風情があったようです。その邸では彰子の安産を願い、夜明け前から、祈祷する僧侶たちの声が聞こえてきます。紫式部の耳には「ものものしく、厳かに」感じられたとのこと。

夜が明ける頃に女房たちが参上してきた一方で、紫式部は、渡殿(渡り廊下)の戸口の局から外を眺めていました。

霧がうっすらとかかった、早朝。そのような時に、紫式部は殿(藤原道長)が、庭を歩いているのを見つけます。道長は供の者を呼び、遣水(庭園内に水を導き入れて流れるようにしたもの)のゴミを払わせました。それが終わると、道長は透渡殿の南側に爛漫と咲いていた女郎花(おみなえし)を一枝折り取り、そっと、紫式部が身を隠している几帳の上から差し出します。

道長は、庭を歩く自分を紫式部が見ていることを感知していたのかもしれません。そして(ちょっと、彼女を試してやろう)との気持ちで、一枝の女郎花を紫式部に差し出し、こう問いかけるのです。

「これ、遅くてはわろからむ」(この花はどうだ。返事が遅くてはよくないだろう)と。

女郎花を見て、お前(紫式部)は何を感じる、どう歌に詠む、道長は紫式部に咄嗟に課題を出したのです。紫式部の瞬発力と才知を試したというべきでしょうか。

紫式部は、すぐさま、部屋の奥にある硯のもとに走り寄ります。「女郎花盛りの色を見るからに露の分きける身こそ知らるれ」。このときに紫式部が詠んだ歌です。

「今が盛りの女郎花。秋の露が、花をさらに美しくしている。それを見ると、露の恵みを受けられず、美しくはなれなかった我が身を恥ずかしく思います」との意味です。

紫式部の作歌を知った道長は「素早い」と微笑むと、硯を局の外へ持ってくるよう命じます。そして、自らも歌を詠みました。

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