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死んだ「小さなトカゲ」が訴える飼い主への"望み" 「砂漠で暮らす動物が暑さで死ぬ」という意味

東洋経済オンライン / 2024年7月21日 11時30分

ただし、キッチンペーパーも誤って食べてしまうことがあるので、定期的に排泄物をチェックして異物が混じっていないかを確認しましょう。

性格ということでは、ペースト状の人工飼料をよく食べる個体がいる一方で、生き餌(主にフタホシコオロギやイエコオロギ)しか食べない個体もいたり、人工飼料を食べていたのに、あるときから生き餌しか食べなくなったり、ということも起きます。

ヒョウモントカゲモドキに限らず、爬虫類は一般的にほかの動物ほど活動的ではありません。変温動物で代謝が穏やかであるため、病気の進行は遅い傾向があります。

コミュニケーションもとりにくいため、体調に異変が起きていても飼い主が気づきにくく、「何か様子がおかしいな」と思ったときには手遅れになっていることも多いのです。

ヒョウモントカゲモドキを飼い始めたら、健康なときからよく観察して、変化にはすぐ気づけるようにしましょう。

イヌやネコと同じように定期的に動物病院に通い、健康診断や飼育相談をしておくのもよいかもしれません。爬虫類を診察できる動物病院は限られていますから、信頼できる主治医を見つけておくことは、いざというときのために大切です。

死因を知りたいと爬虫類のご遺体を持ち込まれる飼い主の中には、体重を記録したり、餌や排泄物の量を記録したりして、日々の変化をわかりやすく整理されている方も多くいらっしゃいます。

記録に残すことで些細な変化も見過ごさないですし、死因究明や病理診断の参考にもなっています。

愛情をもってよく学んでほしい

もう20年以上前のことですが、ぼくも飼育していたことがあります。10歳くらいまで生きましたが、引っ越しをした際に飼育環境の調節に失敗して、拒食に陥って衰弱して死なせてしまったことがあります。

ヒョウモントカゲモドキの病理解剖に臨むとき、ふとそのことが頭をよぎり、あのときもっと気をつけていれば――という後悔の念にかられることがあります。

ペットとしての歴史が浅いヒョウモントカゲモドキは、病理解剖で全身の臓器をくまなく調べても、病気や死因を明らかにできないことも少なくありません。

それでも病理解剖を積み重ねていくことで、少しずつ病気の理解が深まり、飼育や治療に活かせることができると信じて、今日もヒョウモントカゲモドキの病理診断をしています。

中村 進一:獣医師、獣医病理学専門家

大谷 智通:サイエンスライター 書籍編集者

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