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秋田の無人駅で「"がっこ"爆売れ」感動の舞台裏 "漬物危機"に瀕したお母さんたち「3年間の奮闘記」

東洋経済オンライン / 2024年7月21日 13時0分

加工所だけではもったいない。広さを活かして地域の交流スペース兼コワーキングスペースも作り、先行してオープンさせることが決まった。

「地域の人たちに親しまれて、必要な場所にならなければ新しい交流は生まれません。そのためにがっこステーションを浸透、PRする時間が必要だと思いました」(斎藤さん)

駅舎の改修は斎藤さんが受け持ち、地域おこし協力隊の活動費などから灯油代やペンキ代を捻出して、友人や地域おこし協力隊の仲間たちと一緒に自力で行った。その間、がっこ市メンバーのお母さんたちはせっせと自宅の作業場でがっこ作りに邁進する。

2022年1月、先行して比立内駅舎内にコワーキングスペース「阿仁比立内がっこステーション」がオープン。2月、がっこ市開催。次はいよいよ加工所の設置だ。

大阿仁ワーキングとお母さんたちは共同加工所を作る目的から資金繰り、改正食品衛生法の遵守について、そして複合施設としての運営方法まで、1年かけてじっくり話し合った。

加工所を作るための総費用は460万円。2分の1を秋田県、4分の1を北秋田市が補助し、残りの100万円を自己調達することが決まり、2023年8月に加工所建設に着工、11月1日オープンを目指した。

だがこの時点で、自己調達分100万円あまりは手元になかった。これからクラウドファンディングで集めるのだ。

当時を振り返り、松橋コト子さん(85歳)は「うまく集まらなかったら、みんなでなんぼ出さねばだめだべって、すごく心配でした」とその胸中を打ち明ける。

専業主婦の傍ら、楽しみを兼ねてがっこ作りをしてきたお母さんたちである。がっこ市で売る漬物も1パック200円や300円。売り上げよりも「うちのがっこが喜ばれる」ことが生きがいだ。そんなお母さんたちにとって自己調達の費用は重たく響いた。

2023年9月25日~10月末にクラウドファンディングを実施。蓋を開ければ目標額を超える312万9750円が集まった。クラファンの手数料や返礼品の費用150万円ほどを差し引くと、使えるお金は160万円ほど。それを工事費用に回し、残った分は今後の設備購入費に充てる。

がっこステーションが「新ビジネス」と認められた

ついに2023年11月1日、漬物加工所併設「阿仁比立内がっこステーション」がリニューアルオープン。漬物製造許可に加え、密封包装食品製造許可、飲食店営業許可も取得した。がっこ市のメンバーだけでなく誰でもこの加工所で調理、販売する場として活用できる。

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