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イタリア人が営む「老舗ラーメン店」の人生ドラマ 西武柳沢「一八亭」ジャンニさんと愛妻のこれまで

東洋経済オンライン / 2024年7月22日 11時30分

それまでは創業当時からのラーメンを出していたが、ここからジャンニさんのオリジナルのメニュー開発がスタートする。その後、自家製麺をスタートし、パスタ用のセモリナ粉をブレンドして作った極太麺が誕生した。

2012年からは「ジェノヴェーゼ」の提供がスタート。塩ラーメンにバジルペーストを合わせた斬新な一杯で、ここに自慢の極太麺を合わせた。バジルがたっぷり入った緑色のスープだが、ベースの塩スープがしっかりラーメンらしい味わいで、ラーメンとしてきちんと仕上がっているのが特徴だ。

この他、サイドメニューとしてモッツァレラ餃子などもラインナップし、ジャンニさんオリジナルメニューが次々ヒットする。このころから、テレビの取材も入るようになり、客足も一気に伸びていった。

現在のラーメン業界の一端を象徴する物語

「一八亭」は昼の11時から朝方4時まで営業している。昼営業はジャンニさん、夜営業は知枝さんで切り盛りしているため、平日はほとんど一緒に過ごすことができない。唯一日曜日は22時半までの営業なので、日曜の夜と定休日の月曜日だけ2人で過ごすことができる。

今や、ジャンニさんに会いに来る常連客がたくさんいる。老若男女さまざまなお客さんがいるが、みんなジャンニさんとおしゃべりしに来たり、週末はお酒を飲みに来てくれたりする。

「私がお店に立ち始めた頃は、外国人がラーメン屋で働いていること自体がまだまれでした。その後、日本料理を外国人が手がけることが増えてきて、今や世界は日本ブーム。ラーメンも世界のものになりました。

日本人のシェフがイタリアンを手掛けるのと同じく、外国人がラーメン屋をやることも珍しくなくなりました。当時はここまでラーメンがすごくなるとは思わなかったです」(ジャンニさん)

外国人だからこそわかる、ラーメンの世界的人気

外国からの日本ツアーが増えて、一気にラーメンが人気になった印象だという。

ジャンニさんが来日した当時は、外国人にとっては「ラーメンって何?」という状態だった。日本と言えばマンガやアニメのイメージで、ジャンニさんもラーメンという食べ物自体知らなかった。

ジャンニさんが「一八亭」に立ち始めた頃、地元の友達にその話をしてもまったく伝わらなかったが、今ではイタリアにも当たり前にラーメンがある。時代が変わったのだ。

「私は日本に来てこの店で初めてラーメンを食べました。今でも忘れませんが、初めて食べたのは辛味噌ラーメン。それ以来、味噌ラーメンが大好きになりました。

毎日が楽しく、大変と思う事もありません。美味しいものを出せばお客さんはまた来てくれます。妻とは『2人で続けられるまで続けよう』と話しています」(ジャンニさん)

知枝さんと出会ったことで、ジャンニさんの人生は変わり、そして一軒の老舗ラーメン店が歴史を絶やさずに、地域で愛され続けることとなった。

外国人がラーメン屋の厨房に立つのが、当たり前の時代になりつつある現在。ジャンニさんの半生は、現在のラーメン業界の一端を象徴する物語でもあるのだ。

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

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