「脱ママチャリ」電動自転車がここへ来て人気の訳 10万超でも高性能化、小型化で「1人1台」に?
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時0分
話は、筆者が住む北摂地域に戻る。この地で暮らすひとりとして、「電動アシスト自転車がとても多い地域だ」と以前から感じていたが、あさひによると「全国で最も電動アシスト自転車の売り上げを支える地域」だという。ここまでは予想通りであるものの、「自転車全体に占める電動アシスト自転車の売上比率」が、全国平均の倍の数値だと聞いて、さすがに驚いた。
理由はもちろん坂道の多さだ。普及率は非常に高く、あさひの広報担当・古頭有沙氏は、「車1台+家族に1人1台電動アシスト自転車を所有する家庭がごく一般的だと感じています」と話す。
おそらく北摂地域の住人は、雨の日や休日の遠出には車、通勤や買い物は小回りが利く電動アシスト自転車、と用途に応じて乗り分けているのだ。そして、ほかにも電動アシスト自転車の売れ行きが突出して高い地域がある。例えば、神奈川県の川崎市など、坂道が多く、公共交通機関での通勤がスムーズではない住宅地があるエリアだ。
また、坂が少なくても需要が高い地域もある。たとえば大阪市内のように、道路に小さなアップダウンや橋が多い地域でも、電動アシスト自転車のニーズは高いそうだ。
電動アシスト自転車はさらに普及していくのか?
市場調査会社『Mordor Intelligence』は、2024年の日本の電動アシスト自転車市場規模を9億9,000万米ドルと推定し、2029年までに17億8,000万米ドルに達すると予測している。予測期間中の年平均成長率は12.45%だ。この急速な市場拡大は、電動アシスト自転車が単なる移動手段を超えた存在になりつつあることを裏付けている。
しかし、このような成長には課題も伴う。例えば、都市部での駐輪場の確保や、交通ルールの整備、さらには電動アシスト自転車特有の事故防止対策などが急務となるだろう。他方、CO2排出量の削減や大気汚染の改善など、環境にプラスの影響をもたらす可能性も大いにありそうだ。
また、テクノロジーの進化により、より軽量で高性能な電動アシスト自転車の開発や、IoTを活用したスマートな利用システムの構築など、新たなイノベーションの余地も大きい。電動アシスト自転車は、今後ますます重要な役割を果たしていくに違いない。
笹間 聖子:フリーライター・編集者
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