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ゼネコン技術者「現場女子」が4人に1人の就活実態 「建築デザイナー人気」を背景にこの10年で倍増

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 7時0分

ランチの合間に撮影に応じてくれた、ものつくり大学の建設学科の学生たち。最近の学生は、学ぶ目的が明確で、しっかりとした意見を言う人が多いという(記者撮影)

「最近の当大学の特徴は女子学生が増えていることだ。10年ぐらい前は全体の5~10%が女子学生だったが、今は15~20%となっている」

【データ】建設技術者の新卒就職者のうち「4人に1人」が女子学生

ものづくりの理論と実技を融合したカリキュラムを徹底する、ものつくり大学(埼玉県行田市)。建設学科の学科長である田尻要教授はそのように語る。

建設業界へ就職する学生が増えている。人材派遣を手がけるヒューマンリソシアが文部科学省の「学校基本調査」を基にした分析によると、2023年に建設技術者として就職した新卒者(大学と大学院)は1万7325人。ここ10年で約1.4倍に膨らんでいる。

女子学生が就職者数の増加を底上げ

学生全体の中でも、建設業への就職者数を底上げしているのは女子学生だ。

同じく、ヒューマンリソシアによる分析データを見ると、建設技術者として就職する女性新卒者の数は2013年時点で2094人だった。それが2021年に4000人を突破し、2023年には4257人に上昇した。直近10年で2倍以上も増加していることになる。

就職者に占める女性の比率は2013年の16.5%から2023年は24.6%に高まっている。いまや建設技術者として就職する学生の4人に1人は、女性が占めるようになっているのだ。

建設技術者とは、建築士や設備設計技術者、施工監理技術者といった工事現場で活躍する職種に従事する人のことを指す。最近はそういった職種で活躍する女性は「現場女子」「けんせつ小町」などと呼ばれ、業界全体に活気をもたらす存在になっている。

ゼネコンなど建設業への就職人気は、大規模プロジェクトが数多く進行しているときに高まるとされる。1993年から2000年にかけては、東京湾アクアラインや六本木ヒルズなどの工事が進んだことで業界への注目が高まった。

その後、建設不況とともに人気は落ち込んだが、近年は都心部での大規模再開発プロジェクトやリニア新幹線工事などが進行していることが学生の志向に影響を与えていると考えられる。

建設業に再び注目が高まる中で、とくに現場女子を目指す女子学生が増えているのはなぜか。ものつくり大学の教授たちは、「建築デザイナー人気が背景にある」と指摘する。

「最近の学生は、住宅やビルをデザインするような建築デザイナーの仕事を希望する人が増えている。著名建築デザイナーの隈研吾氏のような存在に憧れる人が多い」と田尻教授は話す。

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