ゼネコン技術者「現場女子」が4人に1人の就活実態 「建築デザイナー人気」を背景にこの10年で倍増
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 7時0分
技能工芸学部長の大垣賀津雄教授も、「建築デザインの分野はもともと人気があったが、住宅のビフォー・アフターなどのテレビ番組が影響して、さらに注目が高まっている」と考える。
成績上位には女子学生がずらり
両教授によると、最近の学生はまじめで大学で学ぶ目的を明確化しており、意見もしっかりと言える。「とくに女子は優秀で、成績上位は女子学生がずらりと並ぶ」(田尻教授)。
就職の際、男子学生はスーパーゼネコンや準大手ゼネコンといった「会社の規模」を求める傾向にある。それに対して女子学生は「目的や業種」で選ぶ傾向が強いという。
そのため、建築デザイナー人気の高まりとともに、「デザイン分野へ挑戦したい」などと業種を絞って就職先を考える女子学生が増えているようだ。とはいえ、建築デザイナーのパイは限られている。
「デザイナー志望で大学に入ってきても、出口(就職先)としてはゼネコンや公共工事(自治体などの土木分野)に行く人が多くなる。4年間の在学中にものづくりの本筋を学んでいくうちに、ほかの業種(建設施工管理者など)の魅力に気づくのだろう」。大垣教授はそう指摘する。
実際に、準大手ゼネコンの入社6年目の女性社員(東北圏の大学を卒業)は、次のように説明してくれた。
「ビフォー・アフターのテレビ番組を見て、『建築ってカッコいいな』と思った。大学を選ぶ際も、『建築は楽しそうだ』とフワっとした感覚で専攻を選んだ。デザイナーのカッコよさに惹かれたが、在学中に意識が変わり建設技術者を目指すようになった」
1929年創立で理工系大学として実績のある東京都市大学も、現場女子を目指す女子学生が多い。
建設系の学部としては理工学部、建築都市デザイン学部、情報工学部がある。このうち建築都市デザイン学部の建築学科は女子学生の比率が高い。建設系の学部全体では女子学生の比率は20%台なのに対し、建築学科については女子学生が33%を占めている。
「プロジェクトの施工管理においては、データを含めた分析が重要になる。そういうリテラシーを持っている人にとっては、非定型的状況を創意工夫して分析することは面白いだろう。こうしたマネジメント能力に男女の差異はない」と、野城智也学長は語る。
最近は工事現場がきれいになるなど労働環境面がよくなっていることもあり、「『現場管理をやりたい』という女子生徒も増えている」(野城学長)そうだ。
官民あげてのプロモーションも奏功
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