苦手な「EBPM」に官僚が本腰を入れる真の狙い 「データで政策効果を検証」ができない政党政治
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 9時0分
これまで、なぜEBPMが浸透してこなかったのか。
一因として挙げられるのは、官僚の無謬性である。
官僚は行政において誤ったことはしない、とか誤ったことをするはずがない、という認識がある。加えて、国民の側も、官僚は誤ったことをしてはならない、という見方が強い。そうすると、前任者が決定した政策について、誤っていたとしてもそれを否定するように改めることは難しい。
しかし、EBPMの発想は、「過ちては改むるに憚ること勿れ」である。過ちと気づいたならばためらうことなく改めるべきである。官僚の無謬性にこだわりが強いと、「改めたほうがよい」というエビデンスがあっても受け入れられない。政権交代がほぼない日本においては、なおさらである。
もう一つの原因は、EBPMに使えるデータが整備されていなかったり、分析体制が整っていなかったりすることである。EBPMを推進する体制は、外部人材を多く採用しなければ、一朝一夕には構築できない。
そうした経緯もあって、冒頭に記したように、「EBPMアクションプラン」の策定という議論になった。
ただ、今般の「EBPMの強化」には、これまでの「EBPMの推進」と違うニュアンスを感じる。それは、これから求められる霞が関におけるEBPMの取り組みににじみ出ているように思える。
政策効果を検証できるデータはあるか
まず、行政改革推進会議は、国の全事業(約5000事業)について、その具体的内容について記載する行政事業レビューシートの改訂を行った。そこでは、行政事業レビューシートを作成する段階から、担当部局にEBPMの発想を浸透させるべく、政策のロジックモデルを記載するよう求めた。
ロジックモデルとは、政策を実現するために投入される資源(インプット)、政策を実施することに伴う活動(アウトプット)と、その結果、期待される成果(アウトカム)について、論理的関係を説明するフローチャートである。
これまでは、政策を講じる際に用いる達成手段(インプット)と期待される成果(アウトカム)の間の因果関係があいまいだったり、こじつけて関係づけてごまかしたりしていた。
今後は、行政事業レビューシートにおいて、政策のロジックモデルに沿った説明を記載することによって、EBPMに向けた端緒となる。
しかし、それだけではEBPMは貫徹しない。最も重要なのは、政策が奏功したか否かを検証できるデータである。しかも、それは、相関関係ではなく因果関係を突き止めるのに資するデータである。単にデータがあったらそれでよいわけではない。
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