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「通勤がつらい」会社からの独立目指す人の"盲点" 法的な「労働者」として扱われないこれだけのリスク

東洋経済オンライン / 2024年7月24日 17時0分

フリーランスは労働者でない以上、雇用保険に加入できません。雇用保険はあくまでも労働者が失業したときや育児休業等で休業した際の所得保障です。そのため、Kさんのケースでいうと、会社を退職した時点で、雇用保険の被保険者ではなくなります。

ちなみに失業給付は、退職日の翌日から原則1年以内に受給する必要があります。そのため、Kさんが会社からフリーランスとしての契約を解除されたのが、仮に退職日の翌日から1年以内であれば、労働者として雇用保険に加入していた期間に対する失業給付を受給することも可能でしたが、Kさんのケースは退職してからすでに1年以上を経過しているため、失業給付も受給できません。

3.フリーランスは原則国保、国年に加入

労働者が加入する健康保険、厚生年金保険といったいわゆる社会保険についても同様に、フリーランスとなれば加入できません。そのため、原則国保、国民年金に加入することになります。

保険料については、会社員時代は会社が折半で負担してくれましたが、全額自己負担となります。

また、社会保険に加入できなくなることで影響が大きいのは、やはり病気やケガした場合に所得保障として健康保険から支給される傷病手当金が受けられないことや、出産した場合に産前・産後休業期間の所得保障として健康保険から支給される出産手当金が受給できないことです。傷病手当金は、病気やケガして、会社を休んでいた期間に対して最高1年6カ月間の所得保障として、標準報酬日額(直近12カ月の標準報酬月額を平均した金額÷30)の3分の2の金額が受給できます(なお、「標準報酬月額」の詳細は過去記事『給与が減ったと思ったら「この表」を見よ!』をご覧ください)。

また、出産手当金も産前・産後休業期間中に会社を休んでいた期間に対して、標準報酬日額の3分の2の金額が受給できます。

ライフイベントに対して、十分検討しておくことが必要

ちなみに、雇用保険に加入していれば、育児休業で休んでいた期間に対して、原則男女共に最高2歳まで所得保障として給与の約5割の金額を育児休業給付金として受給することができます。フリーランスの場合は、ケガや病気になってしまった場合や妊娠・出産、育児といったライフイベントに対して、法令上取得できる休業等がなく、またその期間に対する所得保障もないため、この辺りは十分検討しておく必要があります。

4.労災保険は2024年秋から全業種で特別加入することが可能に

さらにフリーランスは、労働者ではないため、労災保険の対象ともなりません。そのため、業務中にケガや病気となっても補償を受けることができませんでした。

ただ、フリーランスが年々増えていく中で、業務そのものは労働者と変わらないような職種もあることから、業務上のケガや病気となるリスクや保護の必要性等を踏まえて、例外的に一部の業種に限り、労災に特別加入することを認めていました。

現在は、自転車配達員や歯科技工士、ITフリーランス等特別加入できる業種が限られていますが、2024年秋からは、業種に限らず、全業種で特別加入ができるようになります。ただし、特別加入は、あくまでもご自身で事前に手続きをする必要があるのでご注意ください。

武澤 健太郎:大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

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