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教員等の「性犯罪確認する法律」で被害は防げるか どうやって確認するか?残された課題もある

東洋経済オンライン / 2024年7月24日 13時30分

「日本版DBS」法成立歓迎記者会見の様子(写真:フローレンス提供)

子どもを性被害から守る「日本版DBS」の創設を含む「こども性暴力防止法」が、6月19日に成立した。今後、2年半以内に施行される予定だ。

【図表を見る】12歳以下の子どもに対する性犯罪のデータ

子どもの性被害は、学校や幼稚園の先生やベビーシッター、部活動やスポーツクラブのコーチなどの身近な大人から受けることが多く、日本版DBSはこうした「子どもに接する仕事に就く人」からの性被害を防ぐことを目的とする。

どんな法律なのか。その具体的な中身と、施行されることで、どこまで子どもへの性被害が防げるのかを見ていきたい。

今まで性加害歴を知るすべがなかった

「法律が成立したことを、まずは本当に大きな一歩として歓迎する」

法案成立後、厚生労働省の記者クラブ会見室で喜びの声を上げたのは、認定NPO法人フローレンスの代表理事、赤坂緑さん。フローレンスは子育て領域の課題解決に取り組み、長い間、日本版DBS成立のために動いていた組織の1つだ。

「日本版DBS」法は、正式には「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」といい、「子どもに接する仕事に就く人による性犯罪に、子どもが巻き込まれないための法律」となる。

具体的には、4つの措置(①教員などへ研修、②児童などへの面談、③性暴力の発生が疑われる場合の調査や被害児童の保護・支援、④特定性犯罪前科の有無の確認)からなるもので、このうちの④がいわゆる日本版DBSにあたる。イギリスの犯罪歴照会制度(Disclosure and Barring Service)を参考に作られた。

赤坂さんによると、日本にはこれまで、事業者が子どもに接する仕事に就く人の性加害歴を知るすべがなく、性被害から子どもたちを守る仕組みがなかった。

振り返ると、2020年に起こったベビーシッターによる小児わいせつ事件(5~11歳の男児計20人に4年4カ月にわたって、わいせつ行為を行っていたもの)などをきっかけに、こうした問題が取り沙汰され、いくつかの対策は講じられてはきた。

例えば、2021年には議員立法で「わいせつ教員対策法」が成立。わいせつ行為が発覚した教員の教員免許取り消しが可能になったし、2022年には児童福祉法改正により、保育士の登録取り消しが認められた。

しかし、こうした規制強化をすりぬけて、わいせつ教員や保育士が、学校や保育園以外の現場、例えば学童保育や学習塾、スイミングスクールなどで「横滑り」して働くことを防ぐことはできなかった。

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