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「本当の人生」にもっとも必要な夫婦関係の見直し 一度目や若い頃の結婚は「偽りの自己」が決めがち

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 16時30分

そこで夫婦ともども関係性を見直す必要がでてきます。

本当の自分とは限りませんが、長い夫婦生活の中でお互いがわかり合い、配偶者と一緒にいるときがいちばんほっとするとか、話が合うとか、一緒にいると楽しいとか、昔と変わらずラブラブだというのなら、そのまま夫婦関係を継続していいでしょう。

一緒にいて、ストレスとまでは言わないが、四六時中というのはちょっとつらいというのなら、「つかずはなれず婚」と私が呼ぶような生活でもいいでしょう。昼間の時間帯だけは会社に勤めていたときと同じように別々に暮らすということです。あるいは、ルールを決めてお互いに干渉しないということです。

少なくとも、一日のうち何時間かは、本当の自分でいられるような時間を持てる生活が必要ということです。

あるいは、別居という選択肢もあり得るでしょう。これなら、相手の干渉もかなり小さくなるでしょうし、本当の自分でいられるかもしれません。

不仲なのに結婚を続ける理由

さて、外国の人は不思議に思うようですが、ラブラブでないのに、結婚を続けるということにはどういう意味があるのでしょう?

一つは、離婚が面倒だということもあるでしょう。これまでの生活を崩すというのはエネルギーのいるものです。財産の分割など実際的な手間もかかります。

ただ、昔と違って、面倒だからといって気が合わない人と暮らすとしても、その期間が30年ということであれば、一時の面倒くらい経験してもいいという考え方もあるでしょう。

二つ目は、生活や将来への不安です。

年金を分割しても生活できるのかとか、男性の場合は家事ができないといった不安もあるでしょう。今の60代であれば、家事のできる男性も増えているようですが、それができない男性にとっては不安も大きいことでしょう。

ただ、今の人手不足のご時世では、60代なら十分に働いてお金も稼げますし、貯金がない場合は、生活保護という手もあります。本当の自分というのは、世間とか人目から自由になって、生きたいように生きるということですから、生活保護を恥ずかしがる必要はありません。

もちろん、それでは足りないという場合は稼ぐ手段を考えないといけませんが、無理に夫婦生活を続けていれば、かえって好きにお金を使えない可能性もあります。

家事の不安も昔よりはだいぶ軽減されています。食事は冷凍食品がびっくりするくらいおいしいし、一人向けのお弁当や惣菜も買いやすくなっています。掃除なども家事代行を比較的リーズナブルなお金で頼めるし、私のように本当の自分としては、部屋が片付いていないほうが落ち着く人間もいます。

一人になるのは怖くない

三つ目は、孤独への不安です。

ただ、これも案ずるより産むがやすしというか、実際、一人暮らしになると慣れる人が多いようです。実際、一人暮らしの高齢者のほうが、家族と同居している高齢者より自殺が少ないというデータもあります。女性などはとくに一人暮らしに強いようです。

ということで、本当の自分に戻るためのプロセスとして、熟年離婚を積極的に勧める気はありませんが、十分に考慮に値する選択肢とは言えそうです。

和田 秀樹:精神科医

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