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現代社会では「自分らしさ」が不要とされる理由 ビジネスの論理に飲まれないための「ノイズ」

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 11時0分

舟津:ただ、その中には要らない条件も入っているはずなんですよ。でも誰も、そのことを確かめられない。自分の身をもって確かめるような人がいたら逆にすごいと思いますけど、普通はそんなことしないですよね。そういう意味で、あれもこれもできないといけないんだという強迫観念が強まって、降りることができないチキンレースになってしまっています。

三宅:前回お話しした、「受験に合格するために、部活を、SNSをやめます」というお話と通ずるところがありますよね。つまり、目的を達成するための条件が増えすぎているから、結果的に他のことに手が回らなくなっている。目的達成には不要な「ノイズ」として切り捨てられてしまっているのかなと思います。

舟津:本当にそう思います。でも、世の中ちゃんと見れば、当たり前ですけど完璧な人ばかりじゃない。何でもやらないと幸せになれないとか、生き残れないというわけではない。

学生には胸を張って言いたいです。大学の先生を見てみなさいと。変な人やダメな人ばかりじゃないですか(笑)。でも、そういう人たちばっかりでも、その人たちも自分なりに頑張っていて、そうやって世の中は回っているんだから、余裕を持って生きるべきだと思うんです。

その中で、「この人はこれが良いから生き残っているんだな」と感じられるものはある。それはごく限定的な性質のはずです。全部が完璧だから生き残っているわけではなくて、欠落している部分があっても、大事なものがちょっとだけあるから生き残れている。自分にとってそれが何なのかを見極める。

三宅:今のお話を聞いて思ったのが、時に「ノイズ」はものすごい「人間的な魅力」に変わることがある、ということです。一般的には、例えば仕事をたくさんして、お金を持っている人が魅力的だと言われがちです。だけど、実はそうでもなくて、いろんな話ができたり、いろんな経験をしている人、あるいは何か変なことができる余裕のある人のほうが、他人にとっては魅力的に映ることがあったりします。

個人に限らず、例えば読み物や商品とかにも、ちょっとしたノイズなるものに惹きつけられることって、けっこうあるんじゃないか。そう私は思っていて。合理的で純度の高いものは早くて便利ではありますが、一方で、雑味の多いものが人を惹きつけることも、世の中には多いはずなんです。そういう意味で、一般的に必要だと言われているような条件以外の「ノイズ」と考えられているものが、意外と人々の生存戦略の一つになるのでは?と思ったりしますね。

ビジネス化した社会では「自分らしさ」は不要

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