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冴えない「パナソニック」は何が欠けているのか 「笛吹けども踊らず」に陥ってしまっている背景

東洋経済オンライン / 2024年7月25日 13時0分

このような一連の動きを見て、「外様エグゼクティブたちがパナソニックを単なる踏み台にしているのではないか」と懸念するOBの声も聞かれる。片や、楽観できる例も見られる。

2003年にパナソニックを退職した後、日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトなどで経営トップを務め2017年4月に復帰したパナソニック コネクトCEOの樋口泰行氏の活躍だ。

約8600億円を投じて完全子会社化したサプライチェーンのソフトウエア大手、アメリカのブルーヨンダーとの一体化を進めた。組織文化の改革にも熱心で、パナソニック コネクトは、2024年7月に日本次世代企業普及機構が実施する「ホワイト企業認定」で「ゴールドランク」を獲得した。

2022年4月に樋口氏が著し、同氏の写真が表紙になった『パナソニック覚醒』なる書籍が書店に並んだ。パナソニックと冠が付いている限り、同社の事情に詳しくない人が見れば、パナソニックのCEOは楠見氏ではなく樋口氏だと思ったのではないだろうか。

樋口氏のような「出戻りの効用」を期待し、パナソニックグループは2024年4月、アルムナイ(OB、OG=定年退職者以外の離職者)と緩いつながりを保ちながら、協業・共創を生み出すコミュニティとして、「パナソニックグループ・アルムナイコミュニティ」の運用を開始した。

メンバーシップ型からジョブ型へ移行

【2024年7月25日16時18分追記】初出時誤りがあったため修正しました。

楠見氏は人事制度改革にも積極的で2022年4月に役職定年を廃止し、一部の事業会社では年功序列や終身雇用などからなる「メンバーシップ型雇用」から、職務記述書に明記し、一定の条件下で正社員としての契約を結ぶ「ジョブ型雇用」へ移行している。

他社と横並びに見えなくもないが、最も古典的ながら今も高く評価されているモチベーション理論である「期待理論」に基づいている。「人は自分が期待し、価値を認める代償が得られると思えば、モチベーションが生まれる」という考え方である。

旧・松下電器産業は、日本で最初に終身雇用制度を導入した企業だけに、心の壁を崩すのも簡単ではない。そのうえ、持ち株会社制度に変わってから、給与制度、評価制度、昇格制度がグループ内の各事業会社によって異なる。完全なジョブ型雇用に全面転換するのには時間がかかりそうだ。

そもそもジョブ型雇用には、転勤や移動が難しくなる、社員が雇用不安を感じる、人材育成がうまくいかなくなる、といったデメリットもある。必ずしもベストな人事制度とは言えない。

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