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デリカミニ「前年比2倍」を達成できたうまい手法 イメージ戦略が成功したマーケティング好事例

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 9時30分

実は「新型車」ではなかったデリカミニのうまい手法(写真:三菱自動車工業)

登場するやいなや一躍人気モデルとなった、三菱自動車の「デリカミニ」。2023年5月25日の発売から1年を経たいま、販売台数を含め、改めてこのクルマを深掘りしてみたい。

【写真で見る】スーパーハイトワゴンをSUVに仕立ててヒットした「デリカミニ」

このモデルは、自動車という商品の特性や売れ行き、マーケティングを理解するうえで、非常に興味深い1台だからだ。

どういうことかと言えば、デリカミニは「新型車」として登場しているが、その実、中身はまったく新しくないからである。中身は、3年も前の2020年3月に発売となった「eKクロス スペース」そのものなのだ。

その中身をそのままに、名前と顔つきを変えて新たに発売したのが、デリカミニ。だから、「デザインとキャッチコピーを変えることで、どれだけ売れ行きが変わるのか?」という見本のような存在といえる。

「eKクロス スペース」名称の意味

まずは、三菱自動車の軽自動車の“命名法”を理解してほしい。非常に論理的に構成されているのだ。

軽自動車の乗用車は、基本的に「eKシリーズ」と呼ばれる。その中で、クルマの形ごとに「ワゴン」「スペース」と呼び分ける。さらにSUV/クロスオーバー風にした派生を「クロス」、BEV(電気自動車)バージョンには「EV」と名付けるのだ。

具体的には、基本モデルを「eKワゴン」とし、それをクロスオーバー風にしたものが「eKクロス」、さらにクロスオーバーかつBEVとするのが「eKクロスEV」。

背が高くスライドドアを持つスーパーハイトワゴンが「eKスペース」で、それをSUV/クロスオーバー風にしたものが「eKクロス スペース」となる。

つまり、名称を見るだけで、どのような車体で、どのような雰囲気なのかがわかるようになっている。まさに理系的な、賢い命名方法と言えるだろう。

【写真】デリカミニのデザインを詳しく見る(25枚)

スーパーハイトワゴンといえば、ベストセラーの王者ホンダ「N-BOX」に、スズキの「スペーシア」とダイハツの「タント」が挑む構図となっている。現在の軽自動車の主力となるボディタイプであり、いまもっとも売れている軽自動車だ。

ところが、この売れ筋ジャンルにありながらeKスペース/eKクロス スペースの売り上げは、非常に厳しいものであった。

デビュー直後となる2020年度でも、eKスペース/eKクロス スペースを含む、eKシリーズすべてを合わせても3万3100台しか売れなかった。販売ランキングでは、14位。

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