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デリカミニ「前年比2倍」を達成できたうまい手法 イメージ戦略が成功したマーケティング好事例

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 9時30分

これは、ベストセラーモデルであるN-BOXの2カ月分にしかならない。同年度のN-BOXの販売は、19万7900台であった。また、eKスペース/eKクロス スペースと基本設計が同じ兄弟車の日産「ルークス」は、10万台弱を販売して、販売ランキングで5位に入っている。

デリカの弟分のようなイメージにリニューアル

売れ筋ジャンルであり、兄弟車はヒットしているとなれば、三菱自動車の悔しさは予想に難くない。そうした現状打破の手法として採用されたのが、eKクロス スペースのリニューアルだった。

名称とフロントまわりのデザインを一新し、足回りの設定などを変更。新型車デリカミニとして発売したのだ。

外観の雰囲気こそ大きく変わったが、基本的には「eKクロス スペースのまま」といえる。

「デリカ」とは、三菱自動車の日本市場における大黒柱のひとつだ。主力となるのは「デリカD:5」で、ミニバンでありながら、4WDを得意とする三菱自動車らしく、オフロード走行も得意とするクロスオーバーであるという特徴を持つ。このデリカの名称と雰囲気を持ち込み、デリカミニはデリカの弟分のようなイメージに仕上げられている。

こうした“ミニ手法”は、三菱自動車にとって初めてではない。1990年代から2000年代には、大型SUV「パジェロ」の弟分として、軽自動車の「パジェロミニ」が人気となった。

パジェロミニは独自のメカニズムを持つモデルであったが、兄貴分のイメージを上手に使うという点では、デリカミニも同じだ。

なお、パジェロの名称を持つモデルとして、他にも「パジェロ・ジュニア」「パジェロ・イオ」も存在した。

デリカミニ登場でeKシリーズの販売は2倍に

では、発売1年でデリカミニは、どのぐらい売れたのか。

まず、発売前の2022年度(2022年4月~2024年3月)の販売実績は、eKシリーズ全体で2万6379台。販売ランキングは15位だった。2021年度は2万9599台で、はっきり言って低迷している。

なにせ、eKシリーズには、eKワゴン/eKクロス/eKスペース/eKクロス スペースの4車型が含まれているのだ(eKクロスEVは当時、未発売)。

ところが、デリカミニを5月に発売した2023年度は、5万2427台となっている(デリカミニもeKシリーズに含まれる)。なんと、前年比で約2倍だ。

このうち、デリカミニだけで言えば、3万7216台(三菱自動車より)。つまり、デリカミニ1モデルだけで、前年のeKシリーズ全体よりも数多く売れているのだ。これは、まさに大成功である。

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