西武労組、ストを決断した社長との対決の舞台裏 寺岡・労組委員長「井阪社長は腹を割って話すことがない」
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 19時0分
昨2023年8月31日、そごう・西武のファンドへの売却に反発して、労働組合はストライキを決行、西武池袋本店は臨時休業となった。その決断の裏側で経営と組合の間にどのようなやり取りがあったのか。そごう・西武労働組合中央執行委員長である寺岡泰博氏の著書『決断 そごう・西武61年目のストライキ』より一部抜粋・再構成のうえ、緊迫の舞台裏をお届けします。
誰がメディアにリークしているのか?
週が明けた月曜、28日の午後1時半から旧体制の経営陣とは最後となる団体交渉が行われた。前回、23日の団体交渉のあとも、様々な報道が飛び交っていた。多くのメディアが、9月1日が会社売却の完了日だと報じている。
【写真を見る】そごう・西武労働組合中央執行委員長の寺岡泰博氏
しかし会社側からは、相変わらずなんの正式な情報提供もなかった。誰がメディアにリークしているのか分からないが、直接の利害関係者である社員や、労働組合に対してなぜ最優先で情報提供されないのか。
報道されているような、9月1日の売却完了は事実なのか。「いま決まっていることはない」「報道されていることは事実ではない」は井阪社長の常套句だったが、その言葉を鵜呑みにできないのは明らかだった。
この日の団交に臨むにあたり、出席する三役のメンバーには、「今日が最後の協議になるかもしれないから、言いたいことが言えなかったと後で後悔しないように、思いの丈を包み隠さずぶつけてくれ」と伝えていた。ホールディングスの取締役に忖度することなく、組合員の代弁者として言いたいことを言ってほしかった。
いつもは大人しい後藤も、今日は顔を紅潮させている。
池袋本店書籍館9階の役員大会議室で行われたこの日の団体交渉では、井阪社長が例のごとく報道を否定し情報漏れはないと強弁した。
「いまの段階でもクロージング日をいつにするかまだ決めておらず、どこからリークされているのか遺憾であり、残念です」
一方組合側は坂本が口火を切った。
「この場で言えないことが推測であるにせよ報道され、私たちが知らないようなことが報道されていること自体が、誠意を持って対応していただけていないと思います。セブン&アイ・ホールディングスとして情報統制しようと思えばできるはずではないでしょうか」
報じられていた25日の臨時取締役会こそ延期されたようだが、それ以外はほとんどの場合、報道された通りにその後の事態が進行している。つまり、リークはあるのだ。それもセブン&アイの相当高いレベルの経営幹部から。「誠意を持って対応していただけていない」という坂本の追及は、私から見れば遠慮気味にさえ聞こえた。
この記事に関連するニュース
-
スト休業の「業務スーパー」7店舗、このままでは「賃金が不払いになる可能性」 「賃金原資確保」のため営業再開
J-CASTニュース / 2024年7月24日 16時3分
-
非正規の「春闘」、賃上げを勝ち取る意外な戦い方とは? 企業が取り組むべき点も解説
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月22日 7時40分
-
労組訴え「会社の金で高級外車や家事代行、社長に利益吸い取られボーナス激減」 北海道「業務スーパー」7店舗がスト、交渉のメドたたず
J-CASTニュース / 2024年7月19日 19時2分
-
Samsung労組が7月10日に無期限ストライキ決行を宣言、半導体事業への影響は不透明
マイナビニュース / 2024年7月11日 9時40分
-
サムスンの労組がストを実施、5000人超の半導体従事者も参加
マイナビニュース / 2024年7月10日 9時9分
ランキング
-
1メルカリ「フルリモート廃止?」に私が感じたこと 一体感を得るには「ある種の非効率さ」も重要だ
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 11時0分
-
2エリート官僚にトラックドライバーの気持ちはわからない…「長時間労働の禁止令」に運転手たちが猛反発のワケ
プレジデントオンライン / 2024年7月26日 8時15分
-
3「なだ万」、オノデラに売却=外食から撤退―アサヒGHD
時事通信 / 2024年7月25日 21時11分
-
4再送-NY外為市場=円が対ドルで一時2カ月半ぶり高値、米GDP受け伸び悩み
ロイター / 2024年7月26日 6時40分
-
5スキマバイト「タイミー」が上場、27歳社長の素顔 時価総額1000億円超「ユニコーン」に導いた手腕
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 9時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください