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真面目な人ほど職場で「闇堕ちしてしまう」真因 「倫理感の欠如で不正が起きる」への違和感

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 17時0分

(写真:Mills/PIXTA)

昨年、34年にもわたるデータの捏造・改ざんなど不正行為が発覚したダイハツ工業。その後の第三者委員会の調査では、「自己中心的な風潮がある組織風土」があることが指摘されましたが、はたして個々の倫理観が欠けていたことが問題だったと片付けていいのでしょうか。

むしろ、真面目な社員が揃っていたからこそ、職場での傷つきをやり過ごしながら、闇堕ちしていってしまった、と組織開発専門家で『職場で傷つく』を上梓した勅使川原真衣氏は指摘します。

眠れないような働き方をした勅使川原真衣の場合

「はぁ?それってファクト? あなたの意見は聞いてない」
「時間かかりすぎ。もういいよ。こっちでやるから」
「考えたらわかるよね? 頭使ってくれる?」

仕事が怖い。職場は戦場だ。

自分が寝ている間に案件がどうなるかわからない。またやらかして、叱責されるんじゃないか。そう思うと、眠れなくなり、夜になるのが怖くなる。明け方まで起きていると当然眠気がとれず、また日中に職場で凡ミス。また自信を失い、すべてに疑心暗鬼になり、また眠れず。案の定、入社後最初の人事評価で5段階の最低評価を食らった。もう3か月で芽が出なければ辞めるしかないな……そんな気持ちだった。

――これは20代~30代前半の私の話です。当時「心理的安全性」という言葉も「ストレスチェック」も存在しませんでしたが、職場(コンサルティングファーム)に自分の居場所はなく、極度のストレスで見た目も心もボロボロでした。

またその頃は結婚など、プライベートでの人生設計も同時期にこなす必要がある(「リア充」の呪縛)ものの、あっちもこっちもどん詰まり。「死んだら薬になれそうだな」と思ったことは正直、何度もあります。

でも言えなかったし、言わせてもらえる空気もありませんでした。「職場で傷ついた」なんて、バカな。元気に活躍している人がたくさんいる中で、そんな負けを認めるようなこと、自分からできない。産業医に相談? ないない。自分から「メンタル不調」フラグを立てに行く人、そうそういないって……。

「データ至上主義」のなかで追いつめられる

ああでもない、こうでもないと考えた末、「傷つき」を自覚し、適切にケアする機を逸した私は結局、新卒の頃から15年もの間、丸の内線の発車サイン音を聞くと、動悸が止まらないのでした。

とはいえ、今となってはわかるんです。自分の感覚に一定の自信があり、誇りもあるのに、データを扱う仕事であったため、自分の「感覚」「主観」をことごとく封印させられたことが、ストレスだったと。

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