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メルカリ「フルリモート廃止?」に私が感じたこと 一体感を得るには「ある種の非効率さ」も重要だ

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 11時0分

この、リモートかリアルか。どう考えればいいのだろうか。私見を述べる。

①前提「会社の目的は価値の最大化」

当然ではあるが、会社という組織は、社員の成長や働きやすさというのは過程や手段であって、株主のために価値を最大化する目的を有している。上場企業では株価の上昇を目指し、かつ非上場企業であっても将来の利益を最大化するために活動する。

経営者はリアル職場に社員を集めたほうが利益は最大化すると考えれば集めるだろうし、それは経営者の裁量だ。もしリアルな職場に集まりたくないと、社員が辞めて業績が悪化すれば淘汰される。また業績が良好だが、リアルな職場でしか勤務を認めない会社があったとする。そこで働くかどうかは、社員個人の自由意思に委ねられている。

アメリカのIT企業経営者が週に何回かの出社を求めたり、全日の出社を求めたりするのも、価値の最大化が達成できると考えるゆえだ。リモートのままのほうが価値は最大化すると信じるならばそのままにするだろう。

②ビジネスモデルによる違い

そのうえでビジネスモデルの違いがあるだろう。これも考えてみれば当たり前だが、社員1人でサービスや成果物が完結するモデルと、チームや組織単位で協力するモデルがある。

個人コンサルタントの集まりのような会社であれば、コロナ禍をきっかけにしたリモート技術発展の恩恵を受ける。同僚とは事務連絡程度であれば、リモートを廃止する必然性もない。実際に、他者からのノイズがなくなるので生産性は向上するだろう。

逆にラーメン屋ならばリモート出社という概念はそもそもない。またチームで何かを創造する場合はリモートだけではなくリアルな職場で意見交換するほうが、創発が生じるだろう。

リアルのほうが意味のない会話が増えるため、ふとしたきっかけから意外な情報のやりとりがなされる。リアルのほうが、同僚の雰囲気や様子なども常に見られるし、働く様子を傍目で見ることで思考パターンなども伝達できる。

③仲良くなる必要があるか

たとえば国家間の外交はなぜリアルなのだろうか。実際に会って握手をする必要があるのはなぜか。外務大臣やらトップなど、もっとも時間的費用が高い要人が、あれだけの莫大な時間を費やして移動するのはなぜか。それは仲良くなるからだ。そして仲良くなることに価値があるからだ。

リアルで会ったほうが圧倒的に心理的な距離は近くなる。さらにウェブよりも実際に会ったほうが打ち解けた経験は誰にでもあるに違いない。また、仲良くなるほど、意見交換が活発になる。それは国家間の将来を形作るものかもしれない。また企業間、メンバー間でも仕事が進めやすくなる。

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