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あの「葛西臨海公園」がオシャレに変貌した事情 公園再生事業で独走するゼットンの強み

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 9時0分

そしてできたのが、「THE WHARF HOUSE(ザ・ワーフハウス)」というレストハウスで、中にはカフェとレストラン、バーベキューテラス、ビアガーデン、そして足湯がある。象徴的なのは、東京湾を眺めながらつかれる足湯だろう。このアイデアも、ロケーションを生かすという方向性があったからこそ生まれている。

もし当面の集客を優先するならば、複数フロアからなるカフェや商業施設を建設していたかもしれない。しかしその結果、視界が阻まれ、周囲から人を引きつけられなくなってしまう可能性がある。

足湯のおかげもあってザ・ワーフハウスは初年度で3万人の来客を達成するというジェットスタートを切った。これにより、従来のレストラン事業ではなしえなかった稼ぎ方が可能になった。ザ・ワーフハウスの足湯は1人200円で、もし3万人の半分が足湯を利用するだけでも3000万円の売り上げ、それがほぼそのまま利益にもなる。

飲食店で3000万円の利益を出すのは大変

飲食店で3000万円の利益が出る店を作ろうとしたら、実現までの道のりがかなり険しい。利益率が10%だとしたら、年間の売り上げは3億円必要だ。月間で2500万円の売り上げを叩き出す店をつくるには、ある程度の立地に、それ相応の広さの店を抱えるのと同時に、莫大な初期投資と、日々のオペレーションを回す多数のスタッフも雇用しないといけない。加えて、毎日、満席近くまで埋まるように販促を行いながら人件費と原材料費をコントロールして、利益を残していく必要もある。

もちろん、人手不足で十分なシフトを組めなかったり、原材料費の高騰でメニューの見直しを迫られたりすることもあるだろう。そこまでしても10%の利益さえ残らないケースはめずらしくない。外食業界の常識から考えると、山下公園の稼ぎ方は規格外だと言わざるをえないのだ。

ゼットンがなぜPark-PFIで実績を出せているのかというと、「店づくりは、人づくり 店づくりは、街づくり」というビジョンの下、その街で必要とされる店づくりをしてきたからだ。

それを通して、コンセプトをつくり、デザインで色付けしたうえで、顧客に価値が伝わるようなオペレーションを構築していくノウハウを培ってきた。それが街に新たな魅力を加える場づくりに生かされ、公園の価値創造に役立っている。そうした結果、多くの公園からも引き合いがくるようになっている。

「以前まで、公園は不特定多数の人が利用する場として無味無臭であるべきでしたが、Park-PFIの創設によりその考えが変わりました。当社ではPark-PFIは公園の色を決めるプロジェクトだと思っています」と鈴木社長は話す。

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