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「ブラックぺアン2」"考察少なめ"でも面白いワケ 猛暑の今夏だからこそ求められる「王道エンタメ」

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 19時0分

前作『ブラックペアン』と同じく主演は二宮和也だが、役が違い、銀髪になって挑んだ本作(画像:『ブラックペアン シーズン2』公式サイトより)

王道のエンタメが帰ってきた! 日曜劇場 『ブラックペアン シーズン2』(TBS、日曜21時〜)のことである。

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命(健康)とお金、人間の2大欲求にシンプルに迫る、間口の広いドラマで、言ってみれば『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)の男性版かつ医療部分多めみたいなものである。当たらないわけがない。視聴率も安定している。

金に目のない悪魔のような主人公という触れ込みではじまった『ブラックペアン シーズン2』だが、実のところ、圧倒的にヒューマンドラマで、やっぱりそれがいいのだと思う。とくにこんな猛暑が続く時期には。

『アンチヒーロー』を今夏にやっていたらしんどかった

天才外科医・天城雪彦(二宮和也)は「神に愛された悪魔」と呼ばれている。心臓冠動脈バイパス術の世界的大家で、「ダイレクト・アナストモーシス」という高難度の技のできる世界で唯一の存在だ。が、その一方で「患者から大金を巻き上げる、悪魔のような医者」として悪名も高い。

芸術的なまでの手術の才能を、高額な金額でのみ開陳する天城(手術中、主人公の超絶テクを、芸術として表現するように荘厳なクラシックが流れる)。彼はオペを引き受けるにあたって患者と賭けをする。掛け金は患者の全財産の半分で、患者が賭けに勝ったらオペを引き受けるという非道なものだ。

お金はお金でも賭け事なので、『カイジ』みたいという声もSNSではあがっていた。ちなみに、他局で放送している『新宿野戦病院』(フジテレビ)の主人公(小池栄子)は、お金持ちでも貧しい人でも誰でも平等に助ける医者であり、とかく金ありきの天城とは対極を成している。

「神に愛された悪魔」が主人公の『ブラックペアン シーズン2』。またしてもダークヒーローものか、とか、最近の主人公はひねった人物が多いなあとか思わせながら、天城は第3話にして早くも、弱き者の味方な部分を見せている。

街のケーキ店の人気アップルパイのレシピの権利や(第2話)、生活保護を受けている人物の人生を賭けることで(第3話)、結果的に患者とその身内の可能性を拓いているのだ。生きるにはお金が大事。そのお金をただただ誰かに巻き上げられるのではなく、自分で守り、あるいは作り出し、そうやって苦境に諦めることなく生き抜け、というように。

いまや、複雑な世界に勧善懲悪は単純すぎて、逆に作り事に感じてしまい退屈に見えるとはいえ、主人公が悪魔すぎても見ていて心が荒んでしまう。やっぱり悪魔よりも、悪魔の顔をした神であるほうがホッとするではないか。

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