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「ブラックぺアン2」"考察少なめ"でも面白いワケ 猛暑の今夏だからこそ求められる「王道エンタメ」

東洋経済オンライン / 2024年7月28日 19時0分

また、第9話くらいまで主人公の謎を引っ張りに引っ張って、最後の最後でドンデン返し的な意外な展開を見るドラマもおもしろいが、こんなに猛暑で疲れているときに、もやもやと主人公の真意が見えないまま、はぐらかされ続けるような内容を辛抱強く追いかける気力はいまの日本人にはないだろう。

たぶん前期の『アンチヒーロー』を今夏にやっていたらしんどかったと思う。その点『ブラックペアン シーズン2』は実に見やすい親切設計だ。最後に流れる主題歌は小田和正のやわらかな高音で、天に昇るような心地を毎回得ることができる。

考察は少なめでいい

第3話のラストで天城は、若手医師・世良雅志(竹内涼真)を新病院の建設予定地につれていく。海を見下ろすすてきな場所で、そこに桜並木を植えたいと天城は夢を語る。

ソメイヨシノの寿命は約70年、人の一生と同じくらいの桜とともに、この街の人々を見守り続ける病院を作りたいと思っている、と実にヒューマンなことを語る天城は、全然悪魔じゃないではないか。

まだ第3話にもかかわらず、こんなに早く、主人公の仮面を剥いでしまっていいのか。いや、いい。たとえ、主人公の意外な善良な面が明かされたとしても、彼をとりまく病院の人々の陰謀や、前作の主人公との関係の謎ががっつり残っている。

考察は少なめでいい。2018年に放送された前作『ブラックペアン』の主人公であった天才的な縫合技術を持つ外科医・渡海征司郎(二宮)と天城の姿形が似ている理由はなぜなのか。たびたび謎の回想シーンが出てきて、第3話のラストでは、ふたりの子どもが手をつないでいた。この子どもたちが天城と海渡ではないか、とSNS向けのフックはそれで十分である。

最近の日曜劇場は、複雑に作り込んだ考察ものも増えてきた。緻密に構成したドラマを何度も何度も見返して、細かいところまでチェックしないと全貌がわからないドラマがエンタメの主流になっているが、ながら見してもだいたい流れがわかるドラマも必要である。真の平等とはそういうものだと思うのだ(大げさ)。

先述したように『ブラックペアン シーズン2』は、2018年に放送され好評だった医療ミステリー『ブラックペアン』の続編で、そのとき主演した二宮和也が今回は別の役で主演を続投している。人気ドラマだった『ブラックペアン』のパート2がはじまるにあたり、主演は二宮和也の続投で、でも役が違うという趣向は興味を引いた。

前作を見ていれば当然楽しめるが、主人公が違うため、見ていなくても楽しめる。このようにあまりない趣向が可能であったのは、原作がしっかりしてることと、二宮和也の絶対的な安心感があるからであろう。

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