1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

イーロンマスクが実績ゼロから宇宙を目指せた訳 民間企業が宇宙ビジネスをリードできるアメリカ

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 18時0分

インターネット通信には、固定のネット回線や、既存の衛星通信を用いたサービスがあります。固定のネット回線は、接続ケーブルを引いたり、基地局からモバイル端末に電波を送信したりすることで、インターネット通信を提供しています。通信の遅延が少なく、安定してデータ通信ができる一方、通信回線の敷設や電波塔の設置などが必要で、山間部や離島、海上などの条件では通信が難しいという課題があります。

また、既存の衛星通信は、高度約3万6000㎞にある静止衛星を利用しています。環境を問わず通信できる利点があるものの、地上と衛星との距離が遠いため、通信速度の低下や遅延が生じるという欠点がありました。

スターリンクは衛星が高度約550㎞の地球低軌道を周回しています。これにより、電波塔などの設備や通信回線施設が不要で、かつ通信速度も速くなります。ネット回線と既存の衛星通信が抱えていた課題を一挙に解決できる通信方法なのです。

スターリンクは世界各国で利用されており、日本ではKDDIがスターリンクと提携して、2022年10月からサービスを開始しました。2023年には、ソフトバンク、NTTドコモなども同様のサービスを始めました。

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、光ケーブルなどの設備の損傷や基地局の停電により、大規模な通信障害が発生しました。道路が寸断され、設備の早期回復は困難な状況にありました。そこで活躍したのがスターリンクです。KDDIとソフトバンクがスターリンクの受信アンテナを各地の避難所などに無償提供しました。周辺にいる被災者は、スマートフォンなどでネット通信できるようになりました。

SpaceXは2020年代半ばまでに総数約1万2000機の衛星を高度550㎞の軌道のほか、高度1150㎞、高度340㎞の軌道に配備する計画です。スターリンクは通信分野で革命を起こしつつあるのです。

Amazon創業者、宇宙へ行く

マスク氏と並ぶ起業家であるジェフ・ベゾス氏も宇宙分野のキーパーソンの一人です。米国オンライン通販大手「アマゾン」創設者で、ワシントンポスト紙を買収して経営を黒字化させたことでも知られるベゾス氏は2000年、有人宇宙飛行事業を目的とする民間企業Blue Origin社(ブルーオリジン)を設立しました。アマゾンがまだ黒字化していない時点での起業でした。

ベゾス氏はロケット研究者だった祖父や、SFテレビドラマ『スタートレック』の影響で、科学や宇宙への強い関心を抱き、物理学者を目指していたといいます。Blue Originは商業的な宇宙旅行の実現を目指し、再利用可能なロケット技術の開発や有人宇宙船の開発に取り組んでいます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください