佐久間宣行｢不祥事の渡部建｣起用に学ぶ育成術 大バッシングが止まぬ中で再起の場を与える

実際に佐久間さんは、自著でこのように話しています。

“発掘したからには、チーム全員で「その人にどんな場を提供したらもっと活躍してもらえるか」「どうすればもっとおもしろくなってもらえるか」を考える。（中略）すると本人もまわりも、「こんなふうにしたら笑いが取れるのか！」と理解する。これがわかれば他局でも登用され出番が増える。そうやって「売れていく流れ」をつくっていく。チームはこうやって、互いに協力し、成長しながら絆を深めるものだと思う”（『佐久間宣行のずるい仕事術』P110より）

ビジネスという場においても、部下と同じ目線に立って考えることで、新たなアイデアが生まれたり、その後のビジネスチャンスにつながる、といったことも考えられるでしょう。

逸材にマッチングする「役割」を一緒に考える

最近大喜利クイーンとして、人気沸騰中の元AKB48の福留光帆さん。彼女も、佐久間さんの番組に起用されてから魅力がより広まっていった一人です。

「AKBを辞めた後は2年間ほぼニートだった」と語る福留さんは、『NOBROCK TV』で、アルコ＆ピースの平子祐希さんが、5Gの環境じゃないと普段の実力を出せない、というドッキリを仕掛ける企画において、騙され役としてキャスティングされていました。

平子さんの演技力で面白い動画にするのが佐久間さんの当初の狙いだったようですが、福留さんが想定外の大喜利力を発揮します。福留さんのキレのある大喜利回答の数々に、佐久間さんもアルコ＆ピースの2人もすっかり引き込まれていき、YouTubeの動画タイトルには【逸材発見】と書かれていました。

その後すぐに佐久間さんは、新たな動画でも福留さんを起用します。ここで福留さんは大喜利力を証明するだけでなく、フリートークの実力も発揮していました。その次の企画ではロケをうまく回しており、「大喜利だけでなく、フリートークもロケ回しもできる」と幅広く仕事ができる福留さんの能力を可視化していました。

そんな福留さんは、タイムマシーン3号がMCを務めるYouTube番組、『DELISH KITCHEN』で、AKB時代にキャラが迷走していたことを語っています。

“あざといねとか言われるときもあれば、セクシーだねって言われるときもあったし、面白いねとか言われるときもあったので、迷走していました”

福留さんの例にせよ、ほかの芸人の例にせよ、佐久間さんの企画のなかで、自分に合うポジションを見つけて、もともと自分が持っていた魅力や個性、才能を世の中に大きく開花させています。