「ダイエット薬」実はあまり知られてないメリット 生活習慣病の治療パラダイムが変わっていく
東洋経済オンライン / 2024年7月31日 10時0分
ダイエット薬というと、日本では医療機関による安易な適応外処方が問題視され、社会問題化している。
【画像】腎機能の低下は、男性と女性の両方において平均寿命の短縮と関連している
ダイエット薬の代表はオゼンピックやリベルサス(セマグルチド)、マンジャロ(チルゼパチド)などのGLP-1受容体作動薬に分類される薬だ。とても有用な薬なのだが、あたかも悪い薬であるかのように誤解されている方も少なくない。実際のところ、これらの薬にはどのようなメリットがあるのだろうか? 新たな知見を紹介しつつ、健康上のメリットについて解説する。
認知機能低下を予防する効果
7月11日、オックスフォード大学は、セマグルチド治療を受けている2万人以上の患者を含む、アメリカの1億人以上の患者記録を用いた研究結果を発表。セマグルチドは他の一般的な抗糖尿病薬と比較して、認知症、うつ病、不安などの神経学的および精神医学的疾患のリスク増加とは関連がなかった。さらには、認知障害およびニコチン依存症のリスクは低かった。
一般的に、糖尿病患者は認知症や精神疾患を発症するリスクが高い。また精神疾患のある人は糖尿病を発病するリスクが高い。さらなる研究での確認が必要だが、糖尿病患者はセマグルチドで治療を受けることで認知症やニコチン依存が予防できるならば、これは大きな意味がある。
もちろん、糖尿病でない人がセマグルチド治療を受けることで認知症のリスクを低下できるかは不明だ。しかしながら、少なくともリスクを増加させることはないと考えてもよさそうだ。
腎機能低下を予防する効果
糖尿病は、糖尿病性腎症を引き起こし、腎機能を低下させ、慢性腎臓病の原因となる。日本では、腎臓の機能が低下して血液透析治療が必要となる原因の最多は糖尿病だ。
28カ国387施設が参加した臨床試験で、2型糖尿病と慢性腎臓病の両方を患う人3533人がセマグルチド群(1767人)とプラセボ群(1766人)に無作為に割り付け検証したところ、セマグルチド治療群の死亡率はプラセボ群に比べて20%低かった。また腎不全や、腎機能がもとに比べて半分以下に低下すること、腎臓や心血管が原因の死亡、のいずれかの発生率はプラセボに比べて24%低く済んだ。
慢性腎臓病は糖尿病だけでなく、高血圧や高脂血症、肥満などさまざまな生活習慣病に伴って生じる。近頃では腎機能が低下した人は短命であることがわかっている。2012年のカナダでの研究では、40歳の男女の平均余命を調べたところ、推算糸球体濾過率(eGFR)の低下に伴って余命が短くなることがわかった。糸球体濾過率は腎機能の指標で、若くて健康な腎臓を持つ人では100mL/分/1.73㎡だ。
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