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「半世紀ぶり有人月面着陸」日米は何を目指すのか 動き出した「アルテミス計画」とはいったい何か

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 18時0分

(写真: t.mas/PIXTA)

小型ライフサイエンス実験装置の研究開発を行う会社や、企業のDXや宇宙ビジネスコンサルティングを行う会社の代表も務め、宇宙利用の拡大を目指している堀口真吾さんは、次のように話します。

「今、世界中で勢いを増す宇宙ビジネスの状況は、世界を変えたIT革命前夜と同じであるように感じます。まさに宇宙が社会を変える、『スペース・トランスフォーメーション』が起きつつあり、宇宙という場を利用していかに価値を生み出していくかが問われています」

今後ISSが退役し「ポストISS」といわれる時代になるに際し、どのような設備・機能・サービスがあればいいのか。また、宇宙にはどのような特徴があり、環境としてどのように使うことができるのかをつづった『スペース・トランスフォーメーション』より、一部抜粋・再構成してお届けします。

動き出したアルテミス計画

アルテミス計画は、米国が提案した有人月面探査計画です。計画名と計画の詳細は2019年に発表されました。アルテミスはギリシア神話に登場する月の女神で、アポロ計画の由来となった太陽神アポロンとは双子とされます。

2020年10月、米国や日本、カナダ、イギリス、イタリアなど8カ国が「アルテミス合意〜平和的目的のための月、火星、彗星および小惑星の民生探査および利用における協力のための原則〜」に署名しました。アルテミス合意は法的拘束力がないものの、月や火星、彗星や小惑星を探査、利用するうえでの原則を示した重要な合意です。

13部からなる合意では、第3部で「協力活動は専ら平和目的で、国際法に従って実施される」としたほか、第8部では「科学的データの開かれた形での共有を誓約する」としています。

第10部は「宇宙資源の採取および利用が、宇宙条約に従った形で、かつ安全かつ持続可能な宇宙活動を支援するために行われるべきことを強調する」と宇宙資源の利用原則を示し、第11部では「宇宙条約に対する誓約を認識し、および再確認する」などと宇宙活動の衝突回避を掲げています。

さらに、第12部では「ミッション計画立案過程の一環として、軌道上デブリの低減に向けた計画を誓約する」と宇宙デブリ問題にも言及しています。アルテミス計画への署名国はその後増加し、2024年5月時点で42カ国になっています。

火星に行く場合、月面から打ち上げるほうが効率的

アルテミス計画の目標は2025年以降に人類を月面に送るとともに、月周回の有人拠点である「ゲートウェイ」を構築し、物資輸送や月面基地の建設、持続的な月面活動を実現することです。有人着陸船の開発も進められています。

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