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「半世紀ぶり有人月面着陸」日米は何を目指すのか 動き出した「アルテミス計画」とはいったい何か

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 18時0分

日本はこの計画で、月面探査車を開発、提供します。JAXA主導のもと、トヨタが開発を進める「有人与圧ローバ」(愛称:ルナクルーザー)、および三菱重工が開発を進める月極域探査計画(LUPEX)向け「LUPEXローバ」の開発が進められています。

月は昼間に気温が120℃まで上がり、夜はマイナス170℃まで冷える過酷な環境です。アポロ計画で使われた探査車は運転席がむきだしで、宇宙飛行士は船外活動服を着用する必要がありました。

ルナクルーザーは気圧を調整し、地上に近い環境をつくり出した「与圧キャビン」という密閉空間を持つため、船外活動服を着用せず、Tシャツでも過ごせます。移動機能と居住機能を併せ持つため、長期にわたって移動しながら探査することが可能になります。

ルナクルーザーは全長6m、全幅5.2m、全高3.8mあります。マイクロバス2台分の大きさに4畳半ほどのキャビンを有し、宇宙飛行士2人が30日ほど車中で生活しながら月面探査することができます。「月面を走る宇宙船」と開発チームは表現しています。

日本政府は2カ国目の有人月面着陸を目指している

日本政府はアルテミス計画で、2020年代後半に米国に次ぐ2カ国目の有人月面着陸を果たす目標を掲げています。2024年4月の日米首脳会談の際、盛山正仁文部科学大臣とビル・ネルソンNASA長官は、有人月探査の実施に関する文書に署名しました。この中で、日本人宇宙飛行士2人が月面着陸ミッションに加わることが盛り込まれています。

アルテミス計画の根幹の1つは「ゲートウェイ」の建設です。 ゲートウェイは月周回軌道上に設けられ、宇宙飛行士が滞在して実験や物資の保管などをする有人拠点としての役割を果たします。月面活動の中継地点として機能するほか、月や火星などの深宇宙探査において、科学的な発見や人類の将来的な探査に向けた基盤となります。

ゲートウェイは月長楕円極軌道(Near Rectilinear Halo Orbit:NRHO)という軌道を周回します。月に最も近い近月点が高度4000㎞、月から最も遠い遠月点が高度7万5000㎞と非常に細長い軌道です。この軌道が使われる理由は、軌道面が常に地球を向くため地球との通信が常時確保されること、探査の主要ターゲットとなる月の南極の可視時間が長いことなどがあります。

ゲートウェイは月の宇宙ステーションとも言える拠点ですが、ISSとゲートウェイは大きな違いがあります。ゲートウェイの重量は約70tでISSの6分の1。組み立て回数は7回で、これもISSの6分の1です。小ぶりなステーションであることがわかります。ISSは最大6人の宇宙飛行士が常時滞在していますが、ゲートウェイは最大4人の宇宙飛行士が10〜30日滞在するだけです。

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