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南果歩が語る「読み聞かせ」の力と被災地への想い 誰もが「日々物語を求めている」 被災地も同じ

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 11時0分

東京都内でインタビューに答える南果歩さん(撮影:今井康一)

能登半島地震から7カ月が経ったが、今も震災の爪痕は深く残ったままである。その地で、保育園や幼稚園に通う小さな子どもたち、その親御さんや関係者の皆さんに読み聞かせを行う人の姿があった。俳優・南果歩さんだ。なぜボランティアで被災地に赴き、読み聞かせをするようになったのか。

【写真で見る】被災地で子どもたちを抱き寄せながら、読み聞かせの時間を過ごす南果歩さん

南さんが読み聞かせを始めたきっかけ

石川県七尾市にある田鶴浜こども園。「東京から来ました。絵本を読んでもいいですか?」南さんがそう尋ねると、「は〜い!」と割れんばかりの声で子どもたちが答える。

「みんな、何歳〜?」南さんが聞くと、「4さ〜い!」「5さ〜い!」と年齢の本数の指を掲げながら、元気よく子どもたちが反応する。

そんな中、南さんが最初に選んだ絵本は『みんなうんち』。題名を聞いただけで、子どもたちはキャハハーッと大笑いし、つかみはバッチリ!

2冊目、3冊目と読み聞かせが進むに連れて、子どもも大人も南さんのあたたかく、やさしい肉声に吸い込まれるように、物語にくぎ付けになっていった。

【写真】南果歩さん、被災地での読み聞かせの様子やインタビューを受ける様子など(6枚)

今回能登では、田鶴浜こども園のほか、七尾幼稚園、能登島小学校の3カ所を訪れた南さんだが、どのようなきっかけで読み聞かせを始めるようになったのだろうか。

「私は兵庫県の出身ですが、阪神・淡路大震災が起きたとき、自分の仕事は、こういうときにいちばん役に立たない仕事ではないかと落ち込むことがありました。また、当時は妊娠中で思うように動けず、支援物資を送るぐらいしかできなかったのが心残りでした。

ですから、東日本大震災が発生したときは、すぐに動きたいと思い、自分にできることは少ないかもしれないけれど、息子が小さい頃にボランティアで行っていた読み聞かせならできると思ったんです」

東日本大震災のときに教えられたこと

南さんは東日本大震災から1カ月後、まだまだ避難生活が続いていた頃に、数日かけて避難所など、22カ所を巡った。そこで、南さんは現地の人たちからあることを教えられたという。

「被災された皆さんが私に『ドラマに出てね』と何度もおっしゃるんです。こんな大変なときに(テレビでは)ニュースが求められていると思っていたので、『ドラマが観たいんです』とうかがって本当にびっくりしました。

あの寒い体育館の中で、皆さんと膝を突き合わせて会話する中で、自分の仕事は人が生きていくために必要なことだったんだと、初めて気づかされました。どんな状況に置かれても、人は非日常の物語を必要としているんですね」

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